本覚(読み)ほんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

本覚
ほんがく

仏教用語。特に馬鳴 (めみょう) の『大乗起信論』のなかで論じられる思想。心は煩悩によってけがれ,迷っているが,本来は清らかな悟りそのものであるということ。また無明によって迷わされ,くらまされて悟りのない心を不覚と説き,不覚を徐々に打ち破って心の本源を覚えるのを始覚と呼んでいる。『起信論』には,これら不覚,始覚,本覚の相関関係が説かれている。本覚については,『起信論』の注釈書である『釈摩訶衍論』巻三の思想が,日本の真言宗創立者空海に大きな影響を与えている。

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大辞林 第三版の解説

ほんがく【本覚】

〘仏〙
煩悩ぼんのうを消して悟りに向かい始める始覚に対し、人間の心にそもそも備わっているものとしての悟り。煩悩に満ちた人間の心の中に存在している汚れない真理。
日本の中古・中世の天台宗で、現実として成立している真理。 → 天台本覚論

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

本覚
ほんがく

仏教用語。衆生(しゅじょう)に内在するさとりの本性。『大乗起信論(だいじょうきしんろん)』によると、不覚(ふかく)(迷い)に対する覚(さとり)に始覚(しかく)と本覚があり、迷いを滅してさとりに向かう始覚に対し、その根拠となる衆生本来のさとりの要因を本覚とよび、さらにそれを性浄(しょうじょう)本覚(本覚を清浄なる本性からみたもの)と随染(ずいせん)本覚(迷妄のなかで活動している本覚)に分けている。のちに日本天台の本覚法門などでは、この本覚がただちに究極の真理である真如(しんにょ)と等しく、そのことを知れば修行の必要はないと説き、極端な現実肯定に陥った。[末木文美士]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ほん‐がく【本覚】

〘名〙 仏語
現象界の諸相を超えた究極のさとり。また、人間に本来備わっている仏のさとり。
※性霊集‐一(835頃)喜雨歌「久酔无明酒、不本覚源」 〔仁王護国経‐上〕
② 本地のこと。
本朝神仙伝(1111頃)「向諸神社、問其本覚

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世界大百科事典内の本覚の言及

【本覚思想】より

…本覚とは始覚(しがく)に対する語。始覚とは,はじめて〈さとる〉こと,教えを聞いて修行し,はじめて得られる〈さとり〉。…

※「本覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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