理論経済学者。明治34年8月9日、東京に生まれる。府立一中を経て1925年(大正14)東京商科大学(現一橋大学)を卒業。29年(昭和4)から32年にかけてベルリンに留学し、帰国後、母校の教授となり、経済原論を担当した。昭和27年9月24日急逝。おもな業績としては、『米穀需要法則の研究』(1935)、『理論経済学の基本問題』(1939)、『統制経済の原理』(1943)、『近代経済学の解明』上中(1950)、『近代経済学史』(1953、遺著)などの著作のほか、編訳『マーシァル・経済学選集』(1940)がある。
主体的唯物論への注目、ケンブリッジ学派による一般均衡理論の批判、自由経済から統制経済への移行原理の探究という第二次世界大戦以前からの立場は、戦後大きく開花し、マルクス経済学と近代経済学の「切瑳琢磨(せっさたくま)」をうたう学派の代表となる。サミュエルソン‐ヒックス型の均衡論的景気変動論より、ハロッド‐ドーマー型の矛盾理論を評価しながらも、「体制転換の主体の物質的諸条件の確定をも含めて、一般に『資本関係』再生産の規定過程に関するポジティブな研究こそ、マルクス『経済学批判』の最後の目標である」とした。
[宮崎犀一]
『『近代経済学の解明』全2冊(岩波文庫)』▽『『近代経済学史』(1953・岩波書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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