日本大百科全書(ニッポニカ) 「上中」の意味・わかりやすい解説
上中
かみなか
福井県若狭(わかさ)地方の中央部、遠敷郡(おにゅうぐん)にあった旧町名(上中町(ちょう))。現在は三方上中(みかたかみなか)郡若狭町南西部を占める地域。旧上中町は1954年(昭和29)鳥羽(とば)、瓜生(うりゅう)、熊川(くまがわ)、三宅(みやけ)、野木の5村が合併して町制施行。2005年(平成17)三方(みかた)郡三方町と合併して三方上中郡若狭町となった。上中とはこの地方の古称である。南方は野坂山地を隔てて滋賀県と境し、西は小浜(おばま)市に接している。県境に源を発する北川は南東より北西の小浜市に向かって流れ、またJR小浜線、国道27号、303号は旧町域の中央部を東西に走っている。前方後円墳が9基(西塚古墳など5基が国指定の史跡)あり、若狭歴代首長の墓といわれ、畿内(きない)的色彩の強い副葬品が出土している。熊川断層に沿う交通路が若狭と畿内との交流に大きな役割を果たした。江戸時代は小浜藩の支配下に置かれ、若狭街道の熊川宿は、小浜と今津を結ぶ重要な宿駅として発展したもので、1996年(平成8)7月に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。古来からの主産業は農林業であるが、膳部(ぜんぶ)山の県営牧場とゴルフ場、河内(こうち)温泉、瓜割(うりわり)の滝などの観光スポットも多い。
[印牧邦雄]
『『上中町郷土史』(1964・上中町)』