再生産(読み)さいせいさん(英語表記)reproduction

  • 再生産 reproduction

翻訳|reproduction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人間は生産した消費財や生産財を消費ないし使用することによって生産過程で消耗した労働力や生産手段を更新し,再び新たな生産を行うという過程継続的に繰返して生きているが,この消費と生産の反復を再生産という。消費と生産が同じ規模で反復するのを単純再生産,その規模が拡大しつつ繰返されるのを拡大再生産縮小していくのを縮小再生産という。 F.ケネー経済表や K.マルクス再生産表式は国民経済全体の再生産の過程を初めて理論的に表式化したものとして有名である。現在では各国の再生産の過程は国民所得の循環を中心とする新国民経済計算体系 (新 SNA) によって統計的に示されるようになっている。なお最近は産業公害の発生とともに,廃棄物とその自然還元の過程を抜きにしては再生産を語ることはできなくなっている。

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百科事典マイペディアの解説

生産の不断の更新と拡大の過程。社会の存続発展前提をなす。同一規模での周期的繰返しである単純再生産と,利潤の一部を生産に投じてより大規模に生産を更新発展させる拡大再生産に分かれる。この過程を通して商品や利潤だけでなく資本主義的生産関係自体を再生産する。再生産の条件を図式で表したものを再生産表式というが,マルクスはこの表式の分析を通じて再生産過程法則を明らかにした。

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世界大百科事典 第2版の解説

どのような社会も存続していくためには消費生活を維持しなければならず,そのために生産の継続が不可欠な前提となる。こうしての生産がたえず繰り返されることを再生産といい,これが経済過程の実質的な内容をなしている。ところで生産が継続されるためには,生産要素をなす労働力と生産手段がたえず補塡(ほてん)されなければならない。このうち労働力は生活資料の消費を通じて確保され,生産手段は生産過程における財の生産の一部として再生産される。

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大辞林 第三版の解説

スル
商品の生産と流通・消費の過程が不断に繰り返されること。また、その過程。
ある状態や行為が、再び次世代などに生じたり行われたりすること。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 生産が絶えず全体として繰り返されていくこと。また、その過程。その規模の不変・拡大・縮小によって単純再生産、拡大再生産、縮小再生産に分けられる。
※海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉一〇「セーラーたちが、食事をそれほど待ち、貪るのは、それが自分自身のためにする(これは資本家のために、再生産することにもなる)唯一の生活手段であるからだ」

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世界大百科事典内の再生産の言及

【生殖】より

…生物が自分と同じもしくは共通する遺伝子組成をもつ個体を新たにつくること。繁殖という語は家畜学などの分野で,また増殖という語は水産学の分野で,ほぼ同じ意味に使われている。
[植物の生殖]
 植物の生殖は,体の一部または無性の生殖細胞である胞子から新しい個体ができる無性生殖と,性的に異なる2種の配偶子が合体する有性生殖の二つに大別される。 栄養体(葉状体,根,茎など)の一部から新しい個体の生まれる栄養生殖は無性生殖の一つであり,例えばオニユリやヤマノイモなどの側芽は多肉化して〈むかご〉になる。…

【繁殖】より

…生物が後継ぎを残して種族を維持すること。日本語でも英語でも〈生殖reproduction〉や〈増殖multiplication(またはproliferation,propagation)〉との区別があいまいで,しばしば混用されるが,概念上の整理が必要であろう。種族が維持されるためには,一つの世代が次の世代を,次の世代はさらに次の世代を生じなければならない。…

【再生産表式】より

…マルクスが資本制経済の再生産の仕組みを,(1)生産部門を生産手段生産部門(第1部門)と消費手段生産部門(第2部門)に分割し,(2)各部門の生産物価値(W)を不変資本(C)(不変資本・可変資本),可変資本(V)および剰余価値(M)からなるものとして表示したのが再生産表式である。再生産が単純再生産と拡大再生産に分かれるのに対応して,再生産表式も単純再生産表式と拡大再生産表式とに分かれる。 単純再生産は生産規模不変の再生産であって,そこでは剰余価値はすべて資本家の個人的消費にあてられ,蓄積はゼロである。…

※「再生産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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