東アジア地域包括的経済連携(読み)ひがしあじあちいきほうかつてきけいざいれんけい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

東アジア地域包括的経済連携
ひがしあじあちいきほうかつてきけいざいれんけい

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知恵蔵の解説

東アジア地域包括的経済連携

東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国が交渉を進める経済連携協定(EPA)。英語では「Regional Comprehensive Economic Partnership」といい、「RCEP」と略する。日本や中国などASEAN以外の6カ国が、個別にASEANと結ぶ自由貿易協定(FTA)を一つに束ねて、東アジア全域にわたる広域EPAとして発展させる構想で、域内での国内市場の開放や知的財産の保護などを目指している。域内16カ国の人口約34億人は世界の約半分に上り、国内総生産(GDP)約20兆ドル、貿易総額10兆ドルは、いずれも世界の約3割を占めるため、実現すれば、環太平洋経済連携協定(TPP)と並ぶ大規模な自由貿易圏が形成される。
交渉参加国のうち、日本を含む7カ国はTPP交渉にも参加しているが、RCEP最大の経済大国である中国は参加していない。TPPは、締結に向けて大筋で合意に至っているが、2017年1月に米大統領に就任したドナルド・トランプが正式に米国の離脱を表明し、発効が困難となっている。このため、TPPに代わるアジアでの自由貿易の柱として、RCEPへの関心が高まっている。
東アジアにおける経済連携については、中国が「ASEAN+3(日本、中国、韓国)」の13カ国による「東アジア自由貿易圏(EAFTA)」構想、日本が「ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)」の16カ国でつくる「東アジア包括的経済連携(CEPEA)」構想を提唱、検討してきたが、交渉開始には至らなかった。両構想の行き詰まりを打開するため、ASEANが11年、新たな構想としてRCEPを打ち出した。それから16カ国による議論を経て交渉の基本方針や目的がまとめられ、12年、ASEAN関連首脳会合で16カ国の首脳が交渉のスタートを宣言した。13年5月に第1回会合が開催され、16年12月までに、16回の事務レベルでの交渉会合が行われている。
交渉の基本方針として、モノ・サービス貿易や投資の自由化、経済技術協力、知的財産、競争などの分野で、これまでASEANが各国と結んだFTAを大幅に改善する「包括的な、質の高い、かつ、互恵的な経済連携協定」の達成を目指すことを掲げている。また、16カ国での交渉完了後は、他の国の参加も可能とした。
当初は15年末までの交渉完了を目指していたが、参加国間の経済格差などから実現できていない。基本方針では、「参加国の個別かつ多様な事情を認識」することが盛り込まれたが、日本や韓国などの先進国と、タイやインドネシアなどの新興国、カンボジアやラオスといった開発途上国が足並みをそろえるのは難しい。一例として、日本などTPP参加国は、外国企業に対して、自国内でのサーバー設置要求の禁止や、コンピューターソフトの中身の強制的な開示を制限する規定を盛り込むよう主張しているが、中国が安全保障などを理由に拒んでいる。日本などは、アジアに多い国有企業への優遇制限も求めているが、中国やASEANは反対している。

(南 文枝 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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