松崎(町)(読み)まつざき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松崎(町)」の意味・わかりやすい解説

松崎(町)
まつざき

静岡県賀茂郡、伊豆半島南西部の町。1901年(明治34)町制施行。1955年(昭和30)中川村と合併、1956年岩科(いわしな)村を編入。町のほぼ全域が天城(あまぎ)山系南西の丘陵地で、那賀(なか)川と岩科川の中・下流平地があり、両河川の合流する河口部に市街地と松崎港がある。松崎港は西伊豆地区の海の玄関口の一つとなっている。国道136号が通じる。平城宮出土の木簡に「伊豆国那賀郡射鷲郷」「調麁鰹魚」などとみえ、「射鷲」は岩科地区に比定され、南伊豆の特産のかつお節が古代から製造されていたことをうかがわせる。町には中小の造船所があり、養蚕牧畜が盛んであった。現在では米作を中心として、温暖な気候を利用しマーガレットキンギョソウなどの花卉(かき)、ミカンワサビなどを栽培。テングサ、貝類を主とする沿岸漁業を行い、民宿が盛ん。南部の海岸は国指定名勝「伊豆西南海岸」、また町内には松崎、大沢、雲見などの温泉がある。旧岩科学校校舎(国重要文化財)があり、入江長八の漆食鏝絵(しっくいこてえ)の名作を展示する「伊豆の長八美術館」がある。面積85.19平方キロメートル、人口6038(2020)。

[川崎文昭]

『『松崎町史』全7巻(1993~2005・松崎町)』


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