湯梨浜(読み)ゆりはま

改訂新版 世界大百科事典 「湯梨浜」の意味・わかりやすい解説

湯梨浜[町] (ゆりはま)

鳥取県中部,東伯郡の町。2004年10月東郷(とうごう)町,羽合(はわい)町と泊(とまり)村とが合体して成立した。人口1万7029(2010)。

湯梨浜町中南部の旧町。東伯郡所属。人口6558(2000)。東郷池の東・南岸に位置する。湖岸丘陵地帯は古くから開けた地で,多くの古墳や条里制遺構が残り,伯耆一宮の倭文(しどり)神社がある。南部の羽衣石(うえし)山には戦国時代南条氏の居城が築かれ,長和田(なごうた)はその城下町であった。現在の中心はJR山陰本線が通る湖岸の松崎で,東郷温泉(含食塩セッコウ泉,85~94℃)がある。農業が主産業で,特に二十世紀梨は県下有数の出荷額を誇り大選果場がある。町域全体が三朝(みささ)東郷湖県立自然公園に含まれ,東郷温泉を中心に観光開発が進められている。伯耆一宮経塚北山古墳は国の史跡で,経塚からの出土品は国宝に指定されている。
東郷荘

湯梨浜町北東部の旧村。東伯郡所属。人口3056(2000)。日本海に面した中心集落の泊は米子街道の旧宿場町で,江戸時代には鳥取藩主のための御茶屋などが置かれた。また港町でもあり,江戸後期には海上取締りの船番所が置かれた。農漁業が基幹産業で,漁業は県中部地区の沿岸漁業の中心である泊漁港を基地に一本釣り,はえなわ漁業が行われる。農業では二十世紀梨,たくあん漬用のダイコン栽培が盛んである。宇谷には天然記念物の連理根上り松がある。JR山陰本線,国道9号線が通じる。

湯梨浜町北西部の旧町。東伯郡所属。人口7767(2000)。日本海に注ぐ天神川河口東岸の町で,町域は北条砂丘羽合平野,丘陵からなる。天神川と東郷池の間の羽合平野は区画整理の行き届いた県下有数の水田地帯で,古代の条里制の遺構が残る。中心集落の長瀬近世には伯耆街道の宿場町で,天神川の渡船場でもあった。橋津川河口の橋津は古くからの港町で,近世には鳥取藩の藩米の積出港として栄え,藩倉も置かれた。農業が主産業で,米作のほかに砂丘でのタバコ,ブドウなどの栽培,丘陵での二十世紀梨栽培が盛ん。国道9号線沿いに製綱,繊維などの中小工場が立地する。町域の一部は三朝東郷湖県立自然公園に属し,東郷池の突出部に湯量の豊富な羽合温泉(浅津(あそづ)温泉。含食塩セッコウ泉,50~70℃)がある。馬ノ山は豊臣秀吉と吉川春元の古戦場で,山陰地方最大級の前方後円墳をもつ馬山古墳群があり,国の史跡に指定されている。
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