島根県北東部,島根半島南側の宍道(しんじ)低地帯にあり,宍道湖と中海にはさまれた平野。中央には両湖を結ぶ大橋川,天神川などが流れ,主として西部に広がる沖積低地に松江市街地が立地し,東部は低い丘陵地となっている。《出雲国風土記》にある〈入海(いりうみ)〉の一部だったところで,第三紀後半に嫁ヶ島や茶臼山,洪積世末に嵩(たけ)山や和久羅山が形成され,のちこの間の浅海が埋積されて平野が形成された。平野の標高はほとんど2m以下と低湿で,北東郊の北田町付近は1.3~1.5mと最も低い。かつては,しばしば洪水の被害をこうむったため,1689年(元禄2)大橋川の南側に並行して天神川が,また1787年(天明7)には佐陀(さだ)川が宍道湖と日本海を結ぶ人工水路として開削された。平野の土地利用は市街地以外はほとんど水田で,圃場整備の進んだところは一部乾田化している。周辺は排水不良地が多く,大橋川,天神川の水も停滞しがちで,夏季とくに降雨の少ないときには中海からの海水の逆流により,宍道湖岸の水田地帯に塩害をもたらすことがある。
執筆者:池田 善昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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