枕返し(読み)マクラガエシ

デジタル大辞泉 「枕返し」の意味・読み・例文・類語

まくら‐がえし〔‐がへし〕【枕返し】

枕の向きを変えること。特に、人が死んだとき、北枕に変えること。
木枕を多く重ねて手でささげ、自由にもてあそぶ曲芸

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精選版 日本国語大辞典 「枕返し」の意味・読み・例文・類語

まくら‐がえし‥がへし【枕返】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 枕、特に死人の枕を北向きにかえること。転じて、死亡通知に行くことや枕経をいう地方もある。
    1. [初出の実例]「まくらがへしなにやと、れいのやうなるありさまどもにしてければ」(出典:大鏡(12C前)三)
  3. 木枕を多く重ねたまま手にのせて、自由にもてあそぶ曲芸。
    1. [初出の実例]「芝居にて枕返しの曲をみて」(出典:狂歌・後撰夷曲集(1672)九)
  4. 就寝中いつの間にか頭と足の方向が逆になること。
    1. [初出の実例]「まくら返とて通夜の人を、かくこそはたぶろかす化者ありとかや」(出典:本福寺跡書(1560頃)本福寺北の栴檀の木へ宮仕釣上る事)

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改訂新版 世界大百科事典 「枕返し」の意味・わかりやすい解説

枕返し (まくらがえし)

曲芸の一種。多数の木箱の枕を使って演じる芸で,枕を重ね,その角を利用して両手で自由に操作する。〈渡し〉〈肩くだり〉〈まわし〉などの技法がある。中国の弄枕(ろうちん)という芸系を引くと思われる。日本では若衆の芸で,慶安年間(1648-52)に京都で竹田四郎兵衛が放下ほうか)と一座して演じたが,延宝(1673-81)ころには,江戸で放下の長嶋玉之介が枕返しの名手として評判になった。江戸時代初期以降は,おもに放下などが演目とし,のちには大道芸ともなり,角兵衛獅子の子どもたちなどもこれを演じた。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「枕返し」の解説

枕がえし
(別題)
まくらがえし

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
枕返し
初演
慶安4.2(江戸城二の丸)

枕返し
まくらがえし

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
慶安4.2(江戸城二の丸)

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デジタル大辞泉プラス 「枕返し」の解説

枕返し

日本の妖怪。寝ている人の枕を移動させたり、頭と足の向きを変えたりするもので、各地伝承がある。「反枕」とも。

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世界大百科事典(旧版)内の枕返しの言及

【松井源水】より

…松井家の元祖玄長は,越中礪(砺)波(となみ)の出身で,霊薬反魂丹(はんごんたん)を創製し,2代目道三のときに富山袋町に移住して,武田信玄から売薬御免の朱印を受けた。延宝・天和(1673‐84)のころに,4代目玄水が江戸へ出て反魂丹を売りはじめたが,その宣伝,販売のために,箱枕をいろいろと扱う曲芸〈枕返し〉や居合抜きなどを演じた。享保(1716‐36)ごろには,居合抜きのほか曲独楽(きよくごま)(独楽)を演ずるようになり,将軍家重の浅草寺参詣のおりには上覧に供して御成(おなり)御用の符を拝領した。…

※「枕返し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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