(読み)せつ

デジタル大辞泉の解説

せち【節】

季節。時節。
「卯月のうちに春の―のあまれるを知り」〈類従本経信母集・跋〉
季節の変わり目の祝日。節日(せちにち)。
「―は五月にしく月はなし」〈・三九〉
節会(せちえ)」の略。
「今年は―聞こし召すべしとて、いみじう騒ぐ」〈かげろふ・上〉
節振る舞い」の略。
「汝祭りや―に呼ばれて往かんに」〈都鄙問答・四〉

せち【節】[漢字項目]

せつ

せつ【節】

みさお。節操。「を曲げない」
時間的な経過のくぎりめ、または一時期。「上京の世話になる」「そのはよろしく」
㋐1年を春夏秋冬の四つにくぎった1期間。季節。
「いまの―では、しかし、百花園…?」〈万太郎・春泥〉
㋑暦でいう二十四節気のこと。また、そのうち立春啓蟄(けいちつ)など、一つおきの節気で、旧暦で月の前半にくるものをいう。
「兎角するうちに―は立秋に入った」〈漱石
㋒節句(せっく)。
物事のくぎりめ。また、くぎられた部分。
㋐歌曲のふし。
㋑詩歌・文章・楽曲などの一くぎり。「詩歌の一
㋒プロ野球などの日程のくぎり。
竹・枝・骨などのふし。
君命を受けた将軍や使節に交付されるしるしの手形。
速さの単位。ノットのこと。
文を構成する部分として一つのまとまりをなす連文節で、その中に主語・述語の関係を含むもの。
商品取引所で行われる立ち合いの区分。
頃(ころ)用法

せつ【節】[漢字項目]

[音]セツ(漢) セチ(呉) [訓]ふし
学習漢字]4年
〈セツ〉
竹のふし。「枝葉末節盤根錯節
ふしのようになった所。つなぎ目。また、文章・音楽などのくぎり。「音節関節結節章節分節文節
音楽のメロディー。「節奏
気候の変わり目。「節気節季節分季節
時期。折。「時節当節
祝日。記念日。「節句国慶節
度をこえないようにおさえる。ほどよくする。「節煙節減節食節水節制節約調節
言動にけじめをつけてはみ出ないこと。「節義節操節度苦節高節忠節貞節変節名節礼節
使者のしるしの割り符。「節度使使節符節
〈セチ〉祝日。「節会(せちえ)
〈ふし(ぶし)〉「節穴節節節目折節
[名のり]お・さだ・たか・たかし・たけ・とき・とも・のり・ほど・まこと・みさ・みさお・みね・もと・よ・よし
[難読]節榑(ふしくれ)

ノット(knot)

ひもや綱、ネクタイなどの結び目。
船舶の速度の単位。1ノットは1時間に1海里、約1852メートルを進む速度。記号kt, kn
[補説]「節」「」などとも書く。

ふ【節/編】

植物のふし。
「天(あめ)なるささらの小野の七―菅(すげ)手に取り持ちて」〈・四二〇〉
こもやすだれ、また垣などの編み目。
「まを薦(ごも)の―の間近くて逢はなへば」〈・三五二四〉

ふし【節】

棒状の物の盛り上がった部分。
㋐竹・葦(あし)などの茎にあるふくれた区切り。
㋑幹や茎から枝が出るところ。また、木材に残る枝の出たあと。「のある板」
㋒骨のつなぎ目。関節。「指の
㋓糸や縄のこぶ状になった所。「の多い糸」
区切りとなる箇所。段落。せつ。「これを人生のとしよう」
心のとまるところ。…と思われる点。「疑わしいが二、三ある」
機会。おり。おりふし。「何かのに思い出す」

㋐歌などの旋律。また、旋律のひとくぎり。曲節。「をつけて歌う」「出だしのを口ずさむ」
㋑文章を音読するときの抑揚。「をつけて朗読する」
㋒(ふつう「フシ」と書く)浄瑠璃や謡曲などの語り物で、詞(ことば)に対する旋律的な部分。
その人独特の語り口。演説や講演にいう。
鰹(かつお)節」「鯖(さば)節」などの略。
定常波で、ほとんど振動していない部分。振幅が最小の点。⇔
なんくせ。言いがかり。
「喧嘩に―はなくてめでたし」〈滑・膝栗毛・四〉
[下接語]憂(う)き節折節七(なな)節一(ひと)節(ぶし)一中節田舎節入れ節歌沢節腕節愁い節荻江(おぎえ)節雄節鰹(かつお)節河東(かとう)節亀(かめ)節義太夫(ぎだゆう)節清元節削り節小節鯖(さば)節鮪(しび)節新内節説経節背節薗八(そのはち)節連れ節常磐津(ときわず)節常(とこ)節富本(とみもと)節浪花(なにわ)節生(なま)節生(なま)り節節節骨節本節都節雌節(ぷし)腕っ節骨っ節

よ【節】

竹・アシなどのの節(ふし)と節との間。

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世界大百科事典 第2版の解説

ふし【節 knot】

樹木の枝が樹幹の肥大に伴って樹幹の材の中に包み込まれた部分。丸太から板や柱などを製材したときに,節の断面が現れてくるが,その形によって丸いものを〈丸節〉,楕円形のものを〈楕円節〉と呼び,さらに枝の長軸に沿う方向に切られた場合には双曲線を示すようになるので,これを〈流れ節〉と呼んでいる。枝が生きていて,健全な場合には〈生節(いきぶし)〉と呼び,節の部分の組織はまわりの組織とつながっている。枯れた枝からできた節は〈死節(しにぶし)〉と呼ばれ,周囲の組織とのつながりはない。

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大辞林 第三版の解説

せち【節】

〔呉音〕
時節。季節。 「やよひの日数のうちに夏の-の来たる/経信母集」
季節の変わりめの祝いをする日。節日せちにち。節供せちく。 「 -は五月にしく月はなし/枕草子 39
節会せちえ」に同じ。 「さるべき節会など、五月の-にいそぎ参るあした/源氏 帚木
節日の御馳走。特に正月の振る舞い。 「ある所の御屛風に正月-する/忠見集」 → お節せち

せつ【節】

ある事柄の行われるとき。時期。おり。ころ。 「その-はお世話になりました」
自分の信念を守り続けること。みさお。節操。操守。 「 -を守る」
ほど。ほどあい。節度。 「 -を越えない」
まとまったものをいくつかに分けた、そのひとまとまり。区切り。助数詞的にも用いられることがある。
文章・詩歌・音曲などの一つの段階。 「三つの-から成る論文」 「 -を改めて書き継ぐ」 「第三章第二-」
スポーツの試合期間の一区切り。 「第三-は雨のため未消化」
季節・時節。 「今は恰も水少く草枯れたる-に属したれば/日光山の奥 花袋
二十四節気のこと。また、そのうち旧暦で各月の前半にくる節気をさす。 → 中気
君命を受けた使者や将軍が授かるしるし。 「持-将軍」
生物分類群の階級の一。属と種の中間で、種をまとめる時に用いる。
植物の茎で、葉・枝の着生する部分。ふし。
クローズ(clause)に同じ。
船の速度の単位。ノット(knot)に同じ。

ノット【節】

船舶・海流などの速さの単位。一時間に一海里(1852メートル)進む速度をいう。記号は kn または kt   〔「節」とも書く〕

ふし【節】

竹・葦あしなどの幹にあって、ほぼ一定間隔でややふくらんでいる部分。
樹木の枝の生え出るところ。また、枝を切り落とした跡。特に板や柱に製材した際に残る跡。せつ。 「 -の多い木」 「 -を生かした床框とこかまち
骨と骨のつながっている部分。関節。 「指の-を鳴らす」
糸・ひもなどの、途中の太くなっているところ。 「 -糸」
物事の区切りとなるような大切な箇所。ふしめ。 「人生の-」
箇所。注目すべき点。 「思い当たる-がある」 「故意と思われる-がある」
きっかけ。また、折おり。機会。 「又、よき-なりとも思ひ給ふるに/源氏 帚木
歌の旋律。また、旋律の一まとまり。曲節。 「一-歌って聞かせる」 「 -を忘れる」 「変な-をつけてせりふをいう」
(普通「フシ」と書く)浄瑠璃・謡曲で、旋律のある部分。詞ことばに対していう。
〘物〙 定常波で、振幅が 0 になっているところ。 ⇔
魚の身を縦に四つに割ったもの。また、それを加工した食品。また、特にかつおぶしのこと。
言いがかり。なんくせ。 「よくいろ〱な-をつけるの/人情本・梅児誉美 」 → ぶし(節)

ぶし【節】

名詞、また、地名・人名などの固有名詞の下に付いて複合語をつくる。
浄瑠璃の流派や民謡の曲名などを表す。 「義太夫-」 「木曽-」 「ひえつき-」
人名の下に付けて、その人独特の特徴のある話し方や節回しなどの意を表す。
魚肉を煮て干した食物の意を表す。 「かつお-」 「なまり-」
地名の下に付けて、その地に産するかつおぶしの意を表す。 「土佐-」

よ【節】

竹や葦あしの茎の、節ふしと節との間。 「竹とるに、節ふしを隔てて-ごとに金ある竹を見つくる事かさなりぬ/竹取」
転じて、節ふし。 「大なる竹の-を通して入道の口にあて/平治

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


せつ
clause

伝統的な英文法で,文のなかにはめこまれた文をさす用語。定動詞を含む点でと区別される。機能によって名詞節,形容詞節,副詞節に分類される。たとえば,Jack said that he hated Jill. (ジャックはジルなんか嫌いだと言った) で,that he hated Jillの部分は,saidの目的語となり名詞に相当する機能を果すので,名詞節と呼ばれる。これらはすべて文のなかにはめこまれ,それぞれ名詞,形容詞,副詞に相当するので従属節 subordinate clauseと呼ばれるが,2つ以上の文が andや butを介して対等の資格で結合されているとき,そのおのおのを等位節 coordinate clauseと呼ぶことがある。日本語文法の「節」は,英文法の Clauseの訳語であり,定義,概念もほぼこれに準ずる。すなわち,「主語・述語の関係」を含む連文節 (文の構成部分として一つのまとまりをもつ文節群) をさし,他文節との関係上,主語節,述語節,連用修飾節,連体修飾節,独立節などのように分けることもある。たとえば「象は鼻が長い」の「鼻が長い」は「象は」の述語節である。


ふし

日本音楽用語。原義的には音の高さ (旋律) や長さ (リズム) についての区切りをいうが,原則として歌唱についていう語で,種目や使われ方によって異同がある。 (1) 歌の旋律をいう。歌詞に対して旋律をつけること。すなわち歌唱の作曲を「節付け」といい,「節回し」といえば,歌の旋律法の意味となるが,漠然と歌唱法についてもいう。 (2) 歌の1曲または1区切りの部分をいう。特に,ある特定の同一旋律に対していくつかの歌詞がつけられている民謡などの場合,『木曾節』『八木節』のように曲名につけられた。その1曲または1節 (せつ) を「ひと節」などという。 (3) 個人の歌唱上の類型的特色についていい,その個人名をつけて「…節 (ぶし) 」などという。 (4) おもに浄瑠璃などで,種目名,流派名についていう。 (3) の発展的用法。おもに創始者,流祖の名を冠する。『義太夫節』『一中節』『河東節』など。 (5) 特定の類型的旋律部分についていう。「節章 (せっしょう) 」「曲節 (きょくせつ) 」ともいい,そうしたものの総称としていうほかに,そのなかでも特定の旋律形態名称として用いることもある。特に義太夫節の場合,「地」「詞 (ことば) 」に対立する旋律的部分の総称として用いられる場合と,「フシオチ」ともいう特定の段落の終止旋律の類型名称として用いられる場合とがある。


ふし

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精選版 日本国語大辞典の解説

せち【節】

〘名〙
① とき、時節。季節。
※経信母集(11C中か)「やよひの日かずのうちに、夏のせちのきたるをわきまへ」
② 季節のかわりめの祝日。節供(せっく)。節日(せちにち)。せつ。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「せちする時の騎射(まゆみ)・競馬(くらべうま)も、さらに見所なしかし」
③ 節日、とくに正月の馳走。節振舞(せちぶるまい)
※忠見集(960頃)「ある所の御屏風に正月せちする」
※波形本狂言・末広(室町末‐近世初)「一族達にお節(セチ)を申す」
※御代始鈔(1461頃)御禊の行幸の事「節下の大臣といふ事あり。節といふは旗の名なり。世俗には大かしらと名付く」

せつ【節】

〘名〙
① 自己の信ずる考え、志、行動などを貫き通して変えないこと。みさお。節操。節義。
※続日本後紀‐承和一一年(844)五月丙申「伴直富成女〈略〉厥後守節不改」
※太平記(14C後)五「匡正之忠有て、阿順之従無し、是良臣之節也」 〔春秋左伝‐成公一五年〕
② 適度。ほどあい。ほど。
※菅家文草(900頃)一・仲春釈奠聴講孝経同賦資事父事君「於是円冠節、博帯摳衣」
※養生訓(1713)三「客となりては、殊に飲食の節つつしむべし」 〔礼記‐曲礼上〕
③ 君命を受けた使者や大将に賜わるしるし。てがた。符節。符信。
※続日本紀‐天平一二年(740)九月丁亥「勅以従四位上大野朝臣東人大将軍〈略〉委東人等節討之」 〔周礼‐地官・掌節〕
④ 時間的経過の一時期、または、くぎりめ。
(イ) ある事柄の存在する、または行なわれる、そのとき。折(おり)。時期。ころ。
※菅家文草(900頃)四・驚冬「節是安寧心最苦、天時為我幾相違」
※黄表紙・文武二道万石通(1788)下「その節のおいはぎは、われわれ両人でござる」
(ロ) 一年を、春・夏・秋・冬でくぎった期間。季節。時節。
※菅家文草(900頃)一・賦得躬桑「候節時无誤、斎心採不遑」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)五「鳥の囀、獣の鳴く、皆これその節に応ず」
(ハ) 暦でいう二十四節気のこと。また、そのうち立春に始まる一つおきの節気をいう。また、節から次の節までの一か月間。陰暦の吉凶の暦注の多くは節を基準として配当されている。節月ともいう。
※権記‐長保四年(1002)四月一九日「芒種、五月節」
※浄瑠璃・暦(1685)一「それより世々をへてたとへば日月のめぐり、又はせつのかはる事つらつら是をかんがふるに」
(ニ) 易の六十四卦の一つ。、上卦は坎(かん)(=水)、下卦は兌(だ)(=沢)。水沢節ともいう。水が沢にはいって、多すぎれば流出し、一定の分量があるさま。
(ホ) 節気の変わりめの祝日。節供(せっく)。節日(せちにち)。せち。
※日本後紀‐弘仁三年(812)二月辛丑「花宴之節始於此矣
※仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上「過ぎにし夏の頃、雲の上にて、女御后(きさき)の御節の遊びの有りし時」
⑤ 歌曲の調子。音調。ふし。
⑥ 物事のくぎりめ。また、そのくぎられた部分。
(イ) 詩の一行をいくつかにまとめてくぎった部分。聯(れん)。詩歌・文章・楽曲などの一くぎり。また、文章の段落。
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉流離「一折(セツ)畢るごとに、客の喝采してあまたたび幕の外に呼び出すを」
(ロ) 商品取引所で行なわれる立会(たちあい)の小区分。〔新しき用語の泉(1921)〕
(ハ) プロ野球などの日程のくぎり。
(ニ) 予算編成上の区分の名目。項の下の小区分、目の下の小区分をいう。
(ホ) 数学で、方程式の辺(へん)のこと。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
、枝または骨などのふし。
※菅家文草(900頃)三・舟行五事「無心雲自到、有節雪纔封」
船舶・航空機などの速さの単位、ノット(knot)のあて字。

せっ‐・す【節】

〘他サ変〙 ⇒せっする(節)

せっ‐・する【節】

〘他サ変〙 せっ・す 〘他サ変〙
① 物事の程度をちょうどよくする。適度にする。調節する。
※福翁百話(1897)〈福沢諭吉〉八四「暑中熱するときは氷を室内に解かし、冬は石炭又は蒸気を以て寒温を節(セッ)すべし」
② 数量や程度を制限して減らす。また、控えめにして抑える。〔文明本節用集(室町中)〕
破垣(1901)〈内田魯庵〉四「会員は無用の虚飾を謹み冗費を節して教育慈善等の公益に義捐する事」

ふし【節】

〘名〙
① 植物の幹や茎にあって盛り上がったり、ふくれ上がったりしている部分。
(イ) 竹・葦などの茎にあって、間をおいて盛り上がり、隔て、くぎりとなっているもの。
※竹取(9C末‐10C初)「ふしを隔ててよごとにこかねある竹を見つくる事かさなりぬ」
(ロ) 樹木の幹で、切りとったり落ちたりした枝の出ていた部分。また、板などの材木とした時に残るその跡。
※新撰六帖(1244頃)六「杣山のあさきの柱ふししげみひきたつべくもなき我が身かな〈藤原家長〉」
② 一般に、物の盛り上がったり瘤(こぶ)のようになったりして区切り目にもなっている部分。
(イ) 骨のつがい目。関節。
※彌勒上生経賛平安初期点(850頃)「手足の指は、〈略〉節(フシ)骨現にあらず」
(ロ) 肉腫(にくしゅ)。瘤(こぶ)。また、突出したりふくれたりしているもの。〔字鏡集(1245)〕
(ハ) 絹・綿・麻などの糸で、ところどころ瘤のようになっている部分。また、織糸をつないだ結い目。〔十巻本和名抄(934頃)〕
(ニ) 矢竹の長さ相当の位置にあるでっぱり。三節篦(みふしの)・四節篦(よふしの)により、それぞれの名称がある。「おっとりの節」「篦中(のなか)の節」「すげ節」などの類。
※就弓馬儀大概聞書(1464)「ふしは三ふし篦本なり。すげぶし一所、羽中一所、篦中のふし一所、以上三所なり」
③ 物を隔てるもの。区分するもの。区切るもの。遮断するもの。
※仮名草子・恨の介(1609‐17頃)下「われをは誰とかおぼしめす。庄司が後家に頼まれし、あやめの前とは自らなり。心にふしなおかれそ」
④ きめ。すじ。すじみち。節理。
※新訳華厳経音義私記(794)「文理 合文也 又理者云布之又天文地理也」
⑤ 他と区別される事柄。
(イ) 物事の、ある点。所。箇所。かど。事柄。箇条。
※竹取(9C末‐10C初)「くれたけの世々の竹とり野山にもさやはわびしきふしをのみ見し」
※風流魔(1898)〈幸田露伴〉一「他に思ふ節(フシ)ありて」
(ロ) 特に詩歌の表現で、きわだった箇所。目立つ箇所。
※新撰髄脳(11C初)「ふるく人のよめることばをふしにしたるわろし」
⑥ 区切りとなる箇所。段落。
⑦ 富籤の当たりの一つ。一定の間を置いた番号を当たりとするもの。千両富で、一番と、一〇番・二〇番…九〇番・一〇〇番、および、五番・一五番・二五番…九五番の計二一種の番を当たりとして、各番に賞金を定める類。
※洒落本・突当富魂短(1781)吉原の遊び「これらはうわべの客、拾番目の節(フシ)のあたりこんな事なるべし」
⑧ (他と区別される時の意から) あるとき。おり。時期。きっかけ。機会。時。際。
※源氏(1001‐14頃)帚木「またよきふしなりとも思ひ給ふるに」
⑨ 音楽や歌謡の曲節。旋律。ふしまわし。
※梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「娑羅林、早歌、高砂、双六など様の歌は、我にも習ひたりき。謡ふに、ふしいとたぢろがず」
⑩ 楽器の旋律に対して、特に歌の旋律をいう。
⑪ 語り物音楽の中で、詞に対立する語。謡曲や浄瑠璃などをいう。
⑫ 三味線組歌で、歌詞の中に入れた意味のない「ン」のこと。「待つにござれ」の中の「いとしのン君や」など。
⑬ ⑨から転じて、歌の文句。歌詞。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)湊「歌のふしにてかごの鳥かや恨めしき浮世と、わけもなふ取みだされければ」
⑭ (「フシ」と書く) 浄瑠璃の節章の一つ。文句が一段落したところ、あるいは作曲者が特に必要と認めたところで、語りの旋律が一段落する部分の安定した旋律型。「中フシ」「ウフシ」「ハルフシ」「上フシ」「ノルフシ」などの総称。
※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「照る日の神もおとこ神、よけて日まけはフシよもあらじ」
⑮ 浪花節、浪曲をいう、寄席芸人の語。
⑯ 図星。急所。痛い所。
※洒落本・南遊記(1800)一「穴(フシ)をさされても怳(とぼ)けた顔」
⑰ なんくせ。言いがかり。苦情。もつれ。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「わきざしの抜身は竹と見ゆれども喧𠵅にふしはなくてめでたし」
⑱ 魚の身をたてに四つにさいた一つ。
⑲ 鰹節あるいは鮪節・鯖節・鮫節などの略称。また、それらを数える時にも用いる。
※狂言記・察化(1700)「鯣二連と鰹十節とって来たわ」
⑳ 漆を塗るとき、塗面に付着した塵埃。これを取り除くことを節上げという。
㉑ 里芋の茎を干して乾燥させたもの。ふし汁に用いる。〔随筆・貞丈雑記(1784頃)〕
㉒ 定常波で振幅がゼロまたは極小となるところ。⇔
㉓ 取引市場で、過去の高値安値や株価の大台などをいう。「ふしをぬく」
㉔ 植物「ふしぐろせんのう(節黒仙翁)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
㉕ 植物「ぬるで(白膠木)」の異名。

ぶし【節】

〘語素〙 邦楽の声楽曲の流派名や民謡の曲名を表わすのに用いる。「義太夫節」「木曾節」など。

よ【節】

〘名〙
① 竹・葦(あし)などの、ふしとふしとの間。ふしの間の中空の部分。多く、歌などに「世」「夜」などと掛けて用いる。
※竹取(9C末‐10C初)「此子を見つけて後に竹とるに、節(ふし)を隔ててよごとに黄金ある竹を見つくる事かさなりぬ」
② 転じて、竹・葦などの、ふし。
平治(1220頃か)上「其後大きなる竹のよをとほして入道の口にあてて、もとどりを具してほりうづむ」

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