桃源(読み)トウゲン

デジタル大辞泉 「桃源」の意味・読み・例文・類語

とう‐げん〔タウ‐〕【桃源】

桃源郷」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「桃源」の意味・読み・例文・類語

とうげんタウゲン【桃源】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 中国洞庭湖西方、湖南省桃源県の西南山中にある地名東晉陶淵明の「桃花源記」の題材となった。秦人洞。
    2. [ 二 ]とうかげんき(桃花源記)」の略称
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 陶淵明の「桃花源記」に基づく語 ) 俗世間を離れた安楽な世界仙境武陵桃源。桃源郷。
    1. [初出の実例]「此地即方丈、誰説桃源賓」(出典:懐風藻(751)遊吉野宮〈中臣人足〉)

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故事成語を知る辞典 「桃源」の解説

桃源

俗世間からかけ離れた別天地。理想郷

[使用例] 夕陽すで西山に傾むきたれば、ばんせんの声に別れてこの桃源を出で、元の山路に拠らで他のくさみちをたどり、わが幻境にかへりけり[北村透谷*三日幻境|1892]

[使用例] あたしは、あれも忘れる事にしよう。何もかも忘れる事にしよう。あたしはお百姓になって、そうしてあたしたちの桃源境を作るんだ[太宰治*冬の花火|1946]

[由来] とうえんめいの「とうげん」から。四世紀後半の中国、とうしん王朝の時代。りょう(現在の湖南省内)の漁師が、川に魚を捕りに行き、道に迷ってしまいました。川沿いにさかのぼっていくと、突然、現れたのは、美しい桃の花が咲く森。その中を水源までたどると、小さな洞穴があって、向こうから光が差しているようです。そこで、その穴を通り抜けると、広々とした土地に、人々がのんびりと暮らす村に出ました。村人が言うことには、その昔、戦乱を避けて逃れてきてここに住み着き、外の世界とは行き来のないままに数百年経ったとのこと。漁師はその村で歓待を受け、数日して武陵へと戻りました。後日、もう一度、その村を訪ねようとしたところ、道がわかるように付けておいたはずの目印が消えていて、行き着けなかったということです。

[解説] ❶古来、多くの人々の想像力を刺激してきた、名文です。咲き誇る桃の花や、不思議な洞窟といった道具立てもさることながら、二度と行き着くことができなかったという結末が、あこがれをかきたてるのでしょう。❷ときには芸術家村を指すなど、芸術的なイメージが強い故事成語。その点、政治的な背景を持つ西洋の「ユートピア」とは雰囲気がかなり異なります。

〔異形〕桃源郷/桃源境/武陵桃源。

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普及版 字通 「桃源」の読み・字形・画数・意味

【桃源】とう(たう)げん

桃源郷。世外の理想郷。清・珍〔初めて波に到る〕詩 夷に居りて寥(れうらく)のを作(な)す(なか)れ 此の(すなは)ちらくは是れ桃源

字通「桃」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「桃源」の解説

桃源 (トウゲン)

学名:Syringa vulgaris
植物。モクセイ科のムラサキハシドイの園芸品種,落葉小高木

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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