日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜江」の意味・わかりやすい解説
桜江
さくらえ
島根県中央部邑智郡(おおちぐん)にあった旧町名(桜江町(ちょう))。現在は江津市(ごうつし)の南東部を占める地域。旧桜江町は1956年(昭和31)町制施行。2004年(平成16)江津市に編入。旧町域は石見(いわみ)高原にあり、江の川(ごうのかわ)が東から西に貫流する。江の川に沿って国道261号が走る。古代の桜井郷、中世の桜井荘(しょう)の地で、室町時代には対朝鮮貿易の要津(ようしん)として川湊桜井津(さくらいのつ)の繁栄をみた。チャ、タバコ、ゴボウ、シイタケ栽培が盛ん。中心地区の川戸(かわど)は、1972年に大水害を受けたが、その後治水と土地区画整理を兼ねた大規模な復旧事業が行われた。江の川支流の八戸(やと)川には多目的の八戸ダムがあり、近くに国指定名勝千丈渓(せんじょうけい)がある。甘南備寺(かんなみじ)の黄櫨匂威大鎧残闕(はじにおいおどしおおよろいざんけつ)は国指定重要文化財である。石見神楽(いわみかぐら)の原型とされる大元神楽(おおもとかぐら)は国指定重要無形民俗文化財。
[野本晃史]
『『桜江町誌』上下(1973・桜江町)』