桜漬(読み)さくらづけ

精選版 日本国語大辞典 「桜漬」の意味・読み・例文・類語

さくら‐づけ【桜漬】

  1. 〘 名詞 〙 中開きの桜の花を塩漬けにしたもの。熱湯をそそぎ桜湯として飲用する。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「初(はつ)揚屋町から迎島(むかふじま)へ、桜漬(サクラヅケ)を取りに参ったよ」(出典人情本・吾嬬春雨(1832)前)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜漬」の意味・わかりやすい解説

桜漬け
さくらづけ

ヤエザクラの花を塩漬けにしたもの。桜の花漬けともいう。神奈川県、新潟県、京都などでつくられ、市販されている。ヤエザクラ(大輪)が七分咲きくらいになったころ花の柄(え)ごと摘み取り、塩と白梅酢をあわせた中に軽く重石(おもし)をして漬け込む。水があがったらすだれなどに広げて数日陰干しし、精製塩をまぶして保存する。縁起物としてめでたいときのお茶がわりになる桜湯などに用いられる。

 このほかヒノナアブラナ科)の根を刻んで酢を加えた調味液に漬けたものも桜漬けという。

河野友美大滝 緑]


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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「桜漬」の解説

さくらづけ【桜漬け】

①七分咲きほどの八重桜の花を塩または塩と梅酢で漬け込んだもの。桜湯にするほか、桜ご飯、吸い物椀種などにも用いる。◇「桜花漬け」ともいう。
②日野菜(ひのな)漬物。日野菜は、滋賀・日野地方の発祥で、西日本や長野・新潟などで作られるかぶの一種。根は細長く、地上に出ている部分は紫色をしており、ほとんどが漬物になる。甘酢漬け・ぬか漬け・塩漬けなどがあるが、特に細かく切って甘酢漬けにし、桜のような薄紅色になったものをいうこともある。◇戦国時代、近江(現在の滋賀県)の蒲生貞秀が作らせ、公家を通じて後柏原天皇に献上したところ、天皇がこれを喜び、「近江なる檜物の里の桜漬け これや(「これぞ」とも)小春のしるしなるらむ」という歌を贈ったことからこの名があるとされる。
③大根を梅酢などを用いて漬けた薄紅色の漬物。ほかの野菜を用いたもの、桜漬け①を用いた漬物などをいうこともある。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

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