浮敷網の一種。形状は方形か長方形であって、その上辺は、浮子(あば)として使用するモウソウチク(向竹(むこうだけ)とよぶ)に結着されて水面に支えられ、網はこの浮子方から海底方向に垂れ下がり、下辺に沈子(ちんし)と分銅がつけられる。この沈子方から引揚綱の6~7本が舷側(げんそく)に導かれている。網の両側には1本ずつ張出し竹が船から向竹の両端に向けてつけられる。この左右の両縁には手綱がつけられるか、環がつけられていて、揚網(ようもう)のときこの手綱か、環綱(かんづな)を締めて両側から魚の逃走を防いでいる。集魚灯または撒餌(まきえ)で十分魚が網の上にきたときに沈めてある沈子方にとりつけた6~7本の引揚綱を急に引き揚げて魚群をすくいとる。サンマ、アジ、サバ、イワシ、シラス、イカナゴなどの棒受網がある。
現状では、棒受網漁業による漁獲のほとんどがサンマ棒受網漁業によるもので、2010年度(平成22)の「農林水産年報」においては他の漁業は省略され、この漁業のデータしか記載がない。このようにサンマ棒受網漁業は、サンマをとるうえで重要な漁業である。この漁業は大きく分けて、総トン数10トン以上の漁船によりサンマをとる指定漁業の北太平洋サンマ漁業と、10トン未満の漁船による知事許可漁業がある。このうち北太平洋サンマ漁業の操業期間は、サンマの索餌(さくじ)のための北上魚群および産卵のための南下魚群が形成される8月1日から12月31日までと限定されているため、サケ・マス流し網漁業等との兼業船も多い。また、サンマの漁場は年ごとに海流などによって変わるが、大体、漁期初めの8~9月は歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)沖、8~10月に道東沖で操業し、10~11月ころ三陸沖に南下、11~12月ころには房総(ぼうそう)半島沖まで南下して操業し、これに応じて主要水揚げ港も道東~三陸~房総等と推移する。
2011年1月1日時点のサンマ漁業の大臣許認可隻数は184隻であった。また、2009年の漁獲量は約31万トンとなっている。
[三浦汀介]
『野村正恒著『最新 漁業技術一般』(2000・成山堂書店)』▽『農林水産省大臣官房情報課編・刊『平成22年度 農林水産省年報』(2011)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…カレイ・ヒラメ類などの底魚や貝類,また底層・中層を群泳するアジ,タイ,イカ類,エビ類などがおもな漁獲対象である。 敷網類(敷網漁業)はあらかじめふろしきのような網を水中に沈めておき,餌・集魚灯などで網の上に魚群を誘導し,これをすくいとるもので,小さな四つ手網から各種棒受網,四艘(しそう)張網,八手(はちだ)網など大きいものまである。大きな敷網類はいずれもイワシ,アジ,サバなど群れをなして行動する魚種を対象とするが,現在,この漁具を使う漁業で最も重要なのはサンマ棒受網(棒受網漁業)である。…
※「棒受網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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