コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

椎間板ヘルニア ついかんばんヘルニア herniation of the intervertebral disc

7件 の用語解説(椎間板ヘルニアの意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

椎間板ヘルニア
ついかんばんヘルニア
herniation of the intervertebral disc

椎間板の退行変性などによって線維輪の抵抗が弱まって断裂ができ,その部分から半流動体の髄核が脱出する状態をいう。さらに髄核が椎間板や靭帯の隙間を貫いて飛び出し,脊椎の後方にある脊髄神経を圧迫すると,俗にぎっくり腰といわれる強い腰痛と下肢に放散する坐骨神経痛が起る。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

ついかんばん‐ヘルニア【椎間板ヘルニア】

椎間板髄核が外側へ、多くは背中側へ脱出した状態。脊髄や神経を圧迫するので痛み、腰椎(ようつい)に起こることが多く、ぎっくり腰のかたちで発症することもある。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

椎間板ヘルニア【ついかんばんヘルニア】

椎間板椎間円板)が後方に脱出して,脊髄根の圧迫を起こすもの。髄核が繊維輪を破って脱出することが多い。頸(けい)部や胸部にも起こるが,腰部,特に第4〜5椎間板に多発し,座骨神経痛を起こし,下腿(かたい)および足部の知覚鈍麻をもたらす。
→関連項目頸椎間板ヘルニアペインクリニックヘルニア腰痛症

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

家庭医学館の解説

ついかんばんへるにあ【椎間板ヘルニア Intervertebral Disc Herniation】

◎腰椎(ようつい)の下部におこりやすい
[どんな病気か]
◎腰部と頸部では症状がちがう
[症状]
[検査と診断]
◎急性期には、まず安静に
[治療]

[どんな病気か]
 椎間板は、椎体(ついたい)と椎体の間にあって、背骨(せぼね)(脊柱(せきちゅう))に加わる衝撃をやわらげるクッションの役目をしています。
 椎間板は、中央にゼラチンのような、やわらかい弾力性のある髄核(ずいかく)という部分があり、その周囲には繊維輪(せんいりん)という、比較的かたい軟骨が幾重にも囲んでいて、脊柱に上下から加わる力を全体に均一に分散させ、衝撃をやわらげています。
 20歳代になると、椎間板の変性が始まり、繊維輪の弾力性がなくなり、ところどころに亀裂が生じ始めます。
 一方、髄核はまだ水分を十分含んでいて、弾力性も保たれているので、椎間板に強い力が加わると、椎間板内部の圧が一時的に上昇し、繊維輪の亀裂から髄核が押し出されてきます(髄核の脱出)。この状態を、椎間板ヘルニアといいます。
 繊維輪の亀裂は、抵抗の弱い後側方や後方(背中側)に生じることが多いので、そこには脊髄や脊髄から分かれた神経根(しんけいこん)があるため(図「腰椎におこった椎間板ヘルニア」)、それらが脱出した髄核によって圧迫され、痛みなどの症状がおこります。
●病気になりやすい人
 椎間板ヘルニアは、髄核にまだ弾力があって、繊維輪に亀裂ができた20~30歳代の男性に多い病気で、腰椎の下部にもっともおこりやすく、この年代の男性にみられる腰痛(ようつう)の多くは、この病気が原因になっています。
 急激に腰をひねったり、中腰で重いものを持ち上げたりしたときに、椎間板に強い力が加わっておこることが多いものです。
●おこりやすい部位
 腰椎におこることが多く、頸椎(けいつい)(くびの脊椎)におこることもありますが、腰椎に比べると頻度ははるかに低いものです。頸椎におこった椎間板ヘルニアは、手の痛みやしびれの原因になります。

[症状]
 ヘルニアのおこった部位によって症状はちがいます。また、髄核の脱出の程度と症状の強さは、必ずしも比例しません。ヘルニアの程度は軽いのに、症状が強いこともあれば、その逆のこともあります。
■腰椎の椎間板ヘルニア
 重いものを持ったり、腰をひねったりしたときに突然激しい痛みがおこる、いわゆるぎっくり腰(ごし)のかたちで発症することがあります。
 発症直後は、激しい痛みで動けませんが、たいてい2~3週間で軽くなり、その後、慢性化します。
 また、いつとはなしに、鈍い腰痛や手足(四肢(しし))のしびれ感で始まり、しばらくすると症状は消えるのですが、また、いつとはなしに再発するといったことをくり返す、慢性型で始まることもあります。
 急性であれ慢性であれ、腰椎におこった椎間板ヘルニアでは、多くは腰痛のほかに、左右どちらかの臀部(でんぶ)(おしり)から、太ももの後ろ側、膝(ひざ)から足首までの外側、さらにつま先にまで激しい痛みが走る坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の症状をともないます。
 ヘルニアによる坐骨神経痛の特徴は、せき、くしゃみ、あるいは排便時にいきんだりするだけでも痛みが強くなることで、これをデンジェラ症候(しょうこう)ということもあります。
 顔を洗うときに前かがみになったり、中腰など、腰を丸める姿勢でも痛みが増し、背中をまっすぐに伸ばしたり、寝た姿勢で安静にしていると、痛みは軽くなります。
 さらに、痛みのほかに、しびれや脱力感、知覚障害がみられ、ものにつまずきやすくなったりします。
 腱反射(けんはんしゃ)(腱を打つと筋肉が収縮する反射。膝頭(ひざがしら)を軽くたたくと、反射的に足がはね上がることで知られています)が鈍くなったり、筋肉の萎縮(いしゅく)、筋力の低下が現われることもあります。
■頸椎の椎間板ヘルニア
 頸椎に椎間板ヘルニアがおこると、おもに左右どちらかの腕に放散する痛み、しびれ、脱力感などがおこり、くびの後ろ側が痛むため、くびが動かせなくなったりします。
 髄核が後方中央に大きく脱出したときは、神経根よりも脊髄を直接圧迫するために、しびれ感が足の先から上のほうに上がり、胸のあたりから腕までしびれます。
 そのため、歩行障害がおこりやすく、とくに階段を昇り降りするときによろけたりすることがあるので、注意が必要です。
●受診する科
 腎臓(じんぞう)、尿路、性器などのいろいろな病気で椎間板ヘルニアに似た症状がおこりますが、腰痛や下肢(かし)(脚(あし))のしびれ感があるときは、整形外科を受診しましょう。

[検査と診断]
 まず最初に問診で症状や経過を詳しく聞き、どのような姿勢で、どのように痛むかなどを調べます。
 また、あおむけに寝て、足をまっすぐ伸ばしたまま上に上げると、腰からつま先まで強い痛みが走るラセーグ徴候(ちょうこう)があるかどうかを調べます。
 そのほか、知覚障害の範囲、筋力低下の部位、腱反射の状態などを詳しく調べることで、どの部位に椎間板ヘルニアがおこっているかまで知ることができます。
 しかし、他の脊椎や脊髄の病気と鑑別するために、X線検査、筋電図検査、血液検査、尿検査が行なわれることもあります。椎間板ヘルニアであれば、血液・尿検査に異常はみられません。
 なお、脊椎を体外から撮影する単純X線検査では、椎間板ヘルニアを発見することはできませんが、MRIによる画像検査を行なうと、椎間板のようすがよくわかります。
 手術などのために、ヘルニアの位置と状態を正確に知る必要があるときは、脊髄腔(せきずいくう)にヨード製剤を注入して撮影する脊髄造影などの、特殊なX線検査が行なわれます。

[治療]
 椎間板ヘルニアの痛みは、脱出した髄核によって神経根が圧迫されることと、神経根やその周囲に炎症がおこることが原因ですから、痛みの激しい急性期には、消炎鎮痛薬を内服して、安静にしていれば、数日~1週間で楽になります。
 しかし、炎症が一時的に消えても、ヘルニアがひっこんでしまうわけではないので、痛みが軽くなって慢性化したら、牽引(けんいん)療法や温熱療法、運動療法が行なわれます。
 牽引療法は、脊柱をひっぱって伸ばし、脱出した髄核が自然にひっこむのを期待する療法です。
 温熱療法の目的は、腰や脚の痛む部分を温めて、かたくなった筋肉をやわらかくし、同時にヘルニアがおこっている部分の血行をよくして、炎症を治すことです。病院の理学療法室だけでなく、自宅のお風呂で、ぬるめの湯にゆっくりと入ることも効果があります。
 鍼(はり)は、筋肉のこわばりをとり、痛みで筋肉がかたくなり、筋肉がかたいために骨や神経の位置関係が固定して痛みがとれないといった悪循環をたちきるのに有効です。運動療法と組み合わせると、いっそう効果的です。
 また筋肉、とくに腹筋を強化するために、腰痛体操(ようつうたいそう)(図「腰痛体操(1)」図「腰痛体操(2)」図「腰痛体操(3)」図「腰痛体操(4)」)を行なうことがたいせつです。
 通院でこれらの治療を受けても、症状が頑固(がんこ)に続く場合や、痛みがひどくて歩くこともできないようなときは、入院が必要になります。
 病院では、ベッド上で牽引療法を長時間続けるとともに、局所麻酔薬やステロイド薬(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬)を痛む部位に注入する硬膜外(こうまくがい)ブロックなどが行なわれます。
 それでもなお効果がない場合は、手術の対象になります。
●手術
 手術の前に、MRIや脊髄造影を行ない、ヘルニアの位置や状態を確認します。手術はふつう、全身麻酔で行なわれます。
 手術の方法には、背中を切開して脱出した髄核を切除する後方手術と、腹側からヘルニアを椎間板ごと摘出する前方手術とがあります。
 どちらの方法を選ぶかは、ヘルニアの大きさ、椎間板の変性の程度、ヘルニアをおこした部分の近くの脊椎の状態などによって決められます。
 1か月くらいの入院が必要ですが、2週間もすると歩けるようになります。手術後の経過は、手術法によってもちがいますが、一定期間はコルセットを使ったり、背筋や腹筋を強化する運動療法が必要になることもあります。
 担当医師の注意を守り、決められた安静期間内は、脊椎に負担がかかるようなことは避けなければなりません。
●すぐに手術ができないとき
 いろいろな事情で、すぐに手術が受けられないときは、定期的に診察を受け、医師から日常生活や仕事面で注意すべきことを指示してもらいましょう。
 しかし、重度のヘルニアでは、保存的療法(手術せずに治療すること)で一時的に症状が軽くなっても、またすぐに再発します。
 また、再発をくり返しているうちに、脱出した髄核と神経根が癒着(ゆちゃく)したり、圧迫によって神経根が変性におちいったりすることがあります。こうなってからでは、手術しても完全な回復は望めません。
 こうしたことにならないためにも、医師から手術を勧められたら、なんとか都合をつけて、早めに手術を受けることがたいせつです。
 最近は、大きく切開せずに、皮膚の小さな孔(あな)から内視鏡を入れて髄核を摘出する方法(経皮的髄核摘出術(けいひてきずいかくてきしゅつじゅつ))が行なわれるようになり、手術後の安静期間も短縮されました。
 しかし、すべてのヘルニアがこの方法で治療できるわけではないので、主治医からよく説明を受けるようにしてください。

出典|小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版の解説

ついかんばんヘルニア【椎間板ヘルニア hernia of intervertebral disc】

背骨(脊椎骨)の前方部分である椎体と椎体の間を連結している軟骨(椎間板)が,外に向かって(通常は後方に)突出する現象。一般には年齢的変化によって弾力性が減った椎間板が,ちょっとした外力や日常生活動作などをきっかけにして突出し,すぐ後ろにある脊髄や脊髄神経を圧迫し,痛みやしびれ,さらに手足の力が抜けたり,感じが鈍くなったり,ときには大小便が出しにくくなったり,という神経の症状をひき起こす。腰の骨(腰椎)にいちばん多く,次いで首の骨(頸椎)に起こり,まれには背中の骨(胸椎)にも起こる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

ついかんばんヘルニア【椎間板ヘルニア】

椎間板の内部の髄核が脊柱管内に脱出を起こした状態。腰椎の第四・第五の椎間板部位に多く発生する。脊髄根を圧迫して、座骨神経痛・腰痛などを起こす。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

椎間板ヘルニア
ついかんばんへるにあ

椎間板(椎間円板)は脊椎(せきつい)の椎体間にあってクッションのような役割を果たしているが、この椎間板が、不自然な運動などで外力に耐えられず、被膜を破って脊柱管内に逸脱した状態、すなわち、椎間板の外層である線維輪が退行変性をおこした状態を椎間板ヘルニアという。代表的なものが腰椎椎間板ヘルニアで、ついで多くみられるのが頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアであり、胸椎椎間板ヘルニアは比較的まれである。[永井 隆]

腰椎椎間板ヘルニア

腰痛や下肢痛(坐骨(ざこつ)神経痛)などを訴える腰痛疾患のうちもっともありふれたものであり、20~40歳に多く、腰部の急激な運動あるいは不用意に重量物を持ち上げたときに発症する。この急激な腰痛はぎっくり腰ともよばれ、発生部位は第4と第5腰椎間、第5腰椎と第1仙椎間の椎間板によるものが、だいたい90%を占める。治療法としては、ヘルニア発生当初の腰痛が強い場合、まず仰臥(ぎょうが)位をとり、座ぶとんを1枚丸く巻いて膝(ひざ)の下に入れ、股(こ)関節と膝(しつ)関節が屈曲位をとるようにし、さらに胸椎以上に座ぶとんを1、2枚入れて腰椎部をすこし丸くした姿勢にするとよい。入院後の保存療法としては、腰椎の牽引(けんいん)、鎮痛剤の投与などを行う。3週間の牽引でも効果がなければ副腎(ふくじん)皮質ホルモンを硬膜外に注入する。それも効果がなければ手術療法の適応となる。[永井 隆]

頸椎椎間板ヘルニア

第5と第6頸椎間、第6と第7頸椎間、第4と第5頸椎間の順にみられ、頸痛や項部(こうぶ)痛のほか、上肢の疼痛(とうつう)と知覚障害を訴える。頸髄を圧迫して下肢の麻痺(まひ)をきたすこともある。局所の安静と固定のために、ポリエチレン製の頸椎カラーなどを装着する。保存的治療で効果がみられないときは手術が行われる。[永井 隆]

胸椎椎間板ヘルニア

胸椎下部に好発し、背部痛や肋間(ろっかん)神経痛とともに下肢の脱力、知覚障害などがみられる。[永井 隆]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の椎間板ヘルニアの言及

【ぎっくり腰】より

…最も多い原因は,背骨の椎骨と椎骨との間にある軟骨,すなわち椎間板の病気である。椎間板は弾力性がありクッションのような作用をしているが,20歳を過ぎればすでに老化現象が始まり,外力に対して少しずつ弱くなり,急激な動作などによってその一部が破れたり飛び出したりして神経を圧迫するなどにより,急性の腰痛をひき起こす(椎間板ヘルニア)。第2の原因としては腰の筋肉の病気がある。…

【寝違い】より

…消炎鎮痛剤の投与も有効である。類似の症状で注意を要するのは,頸椎椎間板ヘルニアによる神経根痛である。しかし,この場合の痛みは首だけでなく肩から上肢に放散することが多い。…

※「椎間板ヘルニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

椎間板ヘルニアの関連キーワード腰椎腰椎穿刺腰椎麻酔怒りっぽい胸椎取っ付き易い腰椎滑り症腰椎分離滑り症腰椎変性滑り症出血性素因

今日のキーワード

アレルギー

語源はギリシャ語。「変わった(変えられた)働き」です。関係しているのは、人間の免疫システム。免疫は本来、人の体を守る仕組みですが、ときに過剰反応し、不快な症状を引き起こすことがあります。それがアレルギ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

椎間板ヘルニアの関連情報