厭世観(読み)エンセイカン

デジタル大辞泉 「厭世観」の意味・読み・例文・類語

えんせい‐かん〔‐クワン〕【×厭世観】

この世の中では幸福や満足を得られず、積極的な価値は認めがたいとする人生観。また、そのような人生観に基づく哲学上の立場厭世主義ペシミズム。⇔楽天観
物事の成り行きを悪い方向にばかり考えやすい傾向悲観主義
[類語]厭世的厭世主義悲観的絶望的ペシミスチックペシミズムペシミストマゾヒスティック否定的消極的後ろ向きマイナス思考ネガティブ自虐的自罰的内罰的自嘲自暴自棄被虐自己嫌悪被虐性愛性的倒錯刹那的享楽的快楽主義刹那主義退廃的デカダンデカダンス虚無的堕落自堕落マゾヒズムマゾヒストエムマゾ

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精選版 日本国語大辞典 「厭世観」の意味・読み・例文・類語

えんせい‐かん‥クヮン【厭世観】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pessimism の訳語 )
  2. この世界は悪と苦痛とが優勢を占めているとして、結局、人生は生きるに値しないものだという絶望的な考え方。また、そのような人生観に基づく哲学上の立場。厭世主義。ペシミズム。⇔楽天観
    1. [初出の実例]「詩人や哲学者の厭世観は勿論空言である」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉新詩人)
  3. 物事の悪い方面ばかりを見、また、物事を悪い方向へばかり考えようとする精神の傾向。悲観主義。⇔楽天観

厭世観の語誌

哲学字彙初版)」(一八八一)では「厭世教」と訳しており、「厭世観」が定着したのは明治三〇年(一八九七前後か。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厭世観」の意味・わかりやすい解説

厭世観
えんせいかん
pessimism

厭世主義,ペシミズムともいう。ラテン語の pessimus (最悪の意) に由来する。人生あるいは社会は善よりも悪が多く,不幸に満ちているとする態度,世界観をいい,楽天主義 optimismに対するもの。古代ではヘラクレイトスソフィストディオゲネスなどにその萌芽がみられる。近代ではショーペンハウアー思想がその典型。現代では実存哲学の一傾向にも,変形された厭世主義が指摘できる。

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