楽所(読み)がくそ

  • がくしょ
  • 楽▽所

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

天暦2 (948) 年頃雅楽寮とは別に設立された音楽官庁。雅楽教習演奏にたずさわった。内裏 (だいり) の桂芳坊におかれ,近衛の官人らが別当となった。雅楽寮から楽所への推移の事情は,楽家の確立や,雅楽が宮廷貴族の間に浸透して雅楽の名手が輩出したことと関係があるものと思われるが,明らかでない。

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デジタル大辞泉の解説

平安時代、宮中の桂芳坊(けいほうぼう)にあって、雅楽をつかさどった所。天暦2年(948)設置、明治3年(1870)雅楽局に統合。雅楽寮後身にあたる。がくそ
「院の御賀の―の試みの日参りて」〈柏木
雅楽を奏する所。奏楽所。がくそ。
がくしょ(楽所)」に同じ。
「―遠くておぼつかなければ」〈・少女〉

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世界大百科事典 第2版の解説

唐楽,三韓(高麗,百済,新羅)楽を調習する所。〈がくそ〉ともいう。その名称は《正倉院文書》の764年(天平宝字8)の文書などに見えるが,法会のときの楽人詰所を指す語らしい。しかし904年(延喜4)を初見とする醍醐朝のものは,雅楽寮楽人と区別して楽所楽人が見えるので,すでに常設のものであったことが知られる。ただこれも醍醐天皇が没するとともに廃されたらしく,村上天皇の948年(天暦2)に再置され,場所も内裏の桂芳坊があてられ,以後,明治維新に及んだ。

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大辞林 第三版の解説

がくそとも
雅楽を教習したところ。雅楽寮の後身で、948年に創設、1870年(明治3)雅楽局ができるまで続いた。
音楽を奏する場所。 中島にぞ-は、せさせ給ひける/栄花 駒競べの行幸

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 平安時代、雅楽寮の後身として、楽事を教えたり事務をとったところ。一〇世紀前半設立。明治三年(一八七〇)一一月に雅楽局が設置されるまで続いた。公卿の楽事に堪能な者を長官(楽所別当(がくしょのべっとう))として、蔵人(くろうど)がなる六位別当や預(あずかり)がその下にいた。がくそ。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
※古今著聞集(1254)六「楽所には笙四人・篳篥(ひちりき)一人・唱歌の物数人など有ける」
② 雅楽などで音楽を奏する場所。がくそ。
※源氏(1001‐14頃)藤裏葉「かくしょそなと、おどろおどろしくはせず。うへの御遊びはじまりて書(ふん)の司の御琴どもめす」
③ ①に属して楽事を教えた人。楽人(がくにん)。がくそ。〔楽家録(1690)〕
〘名〙
※源氏(1001‐14頃)宿木「後涼殿のひむがしに、がくその人々召して、暮れ行程に、双調に吹きて」
※源氏(1001‐14頃)柏木「院の御賀のがくその心みの日まいりて御けしきをたまはりしに」

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世界大百科事典内の楽所の言及

【狛氏】より

…祖先は高句麗からの渡来人。《楽所系図》によれば大唐,高麗,新羅,百済などの舞楽師であり,大宰府庁舞師であった狛好行が祖。その後葛古,衆古を経て,冷泉天皇のとき衆行が勅によってはじめて興福寺雑掌となった。…

【三方楽所】より

…雅楽用語。楽所(がくしよ∥がくそ)は宮中における雅楽演奏家詰所のような意図で948年(天暦2)に設けられたが,やがて,従来は楽舞を管轄していた雅楽寮に代わる機関として公式に機能するようになった。応仁の乱(1467‐77)等で宮廷の雅楽が維持困難になり,16世紀後半離散した旧来の宮廷所属楽人(京都方)を補う形で,寺社の雅楽に従事していた大坂四天王寺(天王寺方)と奈良興福寺(南都方)の楽人若干名が招集された。…

【雅楽寮】より

…なお雅楽大属尾張浄足(平安初期の人か)によれば,日本在来の歌舞には,宮廷に伝来した五節舞などのほか,久米舞(大伴・佐伯両氏),楯臥舞(土師・文両氏)など,氏族の伝承したもの,筑紫諸県舞のごとく地方に伝来したものがあり,外来音楽にも,唐楽などのほかに度羅楽もあったという。しかし師・生ともに時代が下るにつれて縮減の傾向にあり,そのうえ,日本固有の楽は大歌所において,唐楽以下の外来の楽は楽所において,また女楽は内教坊において教習されるようになり,雅楽寮はその実体を失った。雅楽【今江 広道】。…

【楽所】より

…その名称は《正倉院文書》の764年(天平宝字8)の文書などに見えるが,法会のときの楽人の詰所を指す語らしい。しかし904年(延喜4)を初見とする醍醐朝のものは,雅楽寮楽人と区別して楽所楽人が見えるので,すでに常設のものであったことが知られる。ただこれも醍醐天皇が没するとともに廃されたらしく,村上天皇の948年(天暦2)に再置され,場所も内裏の桂芳坊があてられ,以後,明治維新に及んだ。…

※「楽所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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