一般に、圧力1気圧(1013.25ヘクトパスカル)、温度0℃(273.15K)における気体の状態をいう。NTP(normal temperature and pressure)と略称されることもある。この圧力、温度をそれぞれ標準圧力(NP)、標準温度(NT)という。
気体の状態方程式pV=nRTにおいて、p=1atm(気圧),T=273.15K=0℃,n=1mol(モル)ととったとき、Vが22.4リットルになるという気体の基本的性質から生まれた概念である。ここでRは気体定数である。
熱力学関数の場合には、定義が異なる。この場合、温度25℃、圧力1気圧を標準状態とする。たとえば、化合物の標準エンタルピーΔHは、絶対温度298Kを右下につけ、右上にはその成分元素のエンタルピーの仮定値(一般にはゼロ)をつけて表す。すなわちΔH0298である。
溶液の場合には、標準状態の定義が、測定温度のほか、対象としている圧力や温度のとり方によって異なる。たとえば、溶液内の化学平衡をいうとき、活動度(補正された濃度の有効値)が入るが、このときの標準状態は、活動度を求めた温度をとる。
[下沢 隆]
【Ⅰ】normal state.温度0 ℃,圧力1 atm にある気体の状態をいい,S.T.P.あるいはN.T.P.と表すことがある.【Ⅱ】化学熱力学において,注目した物質のある状態における熱力学的性質を表現するために標準として選ぶ状態.気体では理想気体の性質をもつその物質の圧力または分圧が1 atm の仮想的状態,2液の混合物ではその成分の純粋状態,溶液では理想溶液の性質をもつ1 mol kg-1 の質量モル濃度の仮想的溶液などが,普通,標準状態として選ばれる.標準状態に関する量には,その量記号の右肩に°または印をつける.μ°,ΔG °など.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
物質の性質は温度や圧力などの状態によって変化するので,物質を比較する場合,適当な状態を選んで基準とする必要がある。この基準となる状態を標準状態とよぶ。ふつうは気体に対して用いられ,0℃,1気圧の気体状態を選ぶ。この標準状態の圧力,温度をそれぞれ標準圧力normal pressure(略称NP),標準温度normal temperature(略称NT)と呼ぶこともある。この標準状態において理想気体1molの占める容積は,0.0224m3である。
執筆者:小野 嘉之
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