標準状態(読み)ヒョウジュンジョウタイ(その他表記)normal state

デジタル大辞泉 「標準状態」の意味・読み・例文・類語

ひょうじゅん‐じょうたい〔ヘウジユンジヤウタイ〕【標準状態】

物理量を決める際の基準となる状態。ふつう、セ氏零度、気圧1bar(1997年以前は1atm)における気体の状態をいい、この温度圧力を、それぞれ標準温度、標準圧力という。熱力学の場合は定義が異なり、セ氏25度、気圧1barを標準状態とする。

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精選版 日本国語大辞典 「標準状態」の意味・読み・例文・類語

ひょうじゅん‐じょうたいヘウジュンジャウタイ【標準状態】

  1. 〘 名詞 〙 物体の基準となる状態。ふつう、圧力一気圧、温度摂氏零度における気体の状態をいう。NTPまたはSTPと表示する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準状態」の意味・わかりやすい解説

標準状態
ひょうじゅんじょうたい
normal state

一般に、圧力1気圧(1013.25ヘクトパスカル)、温度0℃(273.15K)における気体の状態をいう。NTP(normal temperature and pressure)と略称されることもある。この圧力、温度をそれぞれ標準圧力(NP)、標準温度(NT)という。

 気体の状態方程式pV=nRTにおいて、p=1atm(気圧),T=273.15K=0℃,n=1mol(モル)ととったとき、Vが22.4リットルになるという気体の基本的性質から生まれた概念である。ここでRは気体定数である。

 熱力学関数の場合には、定義が異なる。この場合、温度25℃、圧力1気圧を標準状態とする。たとえば、化合物の標準エンタルピーΔHは、絶対温度298Kを右下につけ、右上にはその成分元素のエンタルピーの仮定値(一般にはゼロ)をつけて表す。すなわちΔH0298である。

 溶液の場合には、標準状態の定義が、測定温度のほか、対象としている圧力や温度のとり方によって異なる。たとえば、溶液内の化学平衡をいうとき、活動度(補正された濃度の有効値)が入るが、このときの標準状態は、活動度を求めた温度をとる。

[下沢 隆]

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化学辞典 第2版 「標準状態」の解説

標準状態
ヒョウジュンジョウタイ
standard state

】normal state.温度0 ℃,圧力1 atm にある気体の状態をいい,S.T.P.あるいはN.T.P.と表すことがある.【】化学熱力学において,注目した物質のある状態における熱力学的性質を表現するために標準として選ぶ状態.気体では理想気体の性質をもつその物質の圧力または分圧が1 atm の仮想的状態,2液の混合物ではその成分の純粋状態,溶液では理想溶液の性質をもつ1 mol kg-1質量モル濃度の仮想的溶液などが,普通,標準状態として選ばれる.標準状態に関する量には,その量記号の右肩に°または印をつける.μ°,ΔG °など.

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改訂新版 世界大百科事典 「標準状態」の意味・わかりやすい解説

標準状態 (ひょうじゅんじょうたい)
normal state

物質の性質は温度や圧力などの状態によって変化するので,物質を比較する場合,適当な状態を選んで基準とする必要がある。この基準となる状態を標準状態とよぶ。ふつうは気体に対して用いられ,0℃,1気圧の気体状態を選ぶ。この標準状態の圧力,温度をそれぞれ標準圧力normal pressure(略称NP),標準温度normal temperature(略称NT)と呼ぶこともある。この標準状態において理想気体1molの占める容積は,0.0224m3である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「標準状態」の意味・わかりやすい解説

標準状態
ひょうじゅんじょうたい
normal state

状態によって変化する物質系の性質を記述するための適切な基準として選んだ状態。たとえば温度や圧力で変化する気体の性質 (密度比熱など) は標準温度0℃=273K,標準圧力 1atmの標準状態での値で示されることが多い。

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百科事典マイペディア 「標準状態」の意味・わかりやすい解説

標準状態【ひょうじゅんじょうたい】

主として気体において,温度0℃,圧力1気圧のもとでの物質の状態をいう。この温度,圧力をそれぞれ標準温度,標準圧という。標準状態における理想気体1グラム分子(1モル)の体積は22.4l。

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栄養・生化学辞典 「標準状態」の解説

標準状態

 さまざまな,物質の性質を測定する場合の基準となる環境条件.0℃,1気圧に設定する場合が多い.

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