ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「横山勝也」の意味・わかりやすい解説
横山勝也
よこやまかつや
[没]2010.4.21. 東京
琴古流尺八家。本名横山信也。祖父である琴古流の横山篁邨,父で新尺八の福田蘭童にも師事した横山蘭畝から尺八を習い,その後,福田や父と交流のあった海童道祖(わたづみどうそ)という路線を異にする師匠について学んだ。このことは NHK邦楽技能者育成会で合奏を主軸とした現代奏法も習得したこととあわせて,芸域を広げるのに大きく影響した。1964年日本音楽集団の設立に参加。同 1964年青木鈴慕,山本邦山と「尺八三本会」を結成し注目を浴びる。おもに長管を担当し,やわらかく深みのある音を聴かせた。篠田正浩監督の映画『暗殺』で武満徹と出会い,1967年には武満がニューヨーク・フィルハーモニックから委嘱されて作曲した琵琶と尺八とオーケストラのための『ノヴェンバー・ステップス』をニューヨークで小澤征爾の指揮,鶴田錦史の琵琶で初演し,好評を得た。1970年度芸術選奨文部大臣賞,1971年度芸術祭賞優秀賞,1972年度芸術祭賞大賞を受賞。多くの優れた若手演奏家を育て,幅広い国際交流を視野に国際尺八研修館を設立するなど,現代尺八の興隆に大きく貢献した。著書に『尺八楽の魅力』(1985)がある。
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