櫃石島(読み)ひついしじま

日本歴史地名大系 「櫃石島」の解説

櫃石島
ひついしじま

[現在地名]坂出市櫃石

島の属島岩黒いわくろ島の北方、現坂出市島嶼部の最北端に位置し、北方指呼の間に備前児島こじま半島の鷲羽わしゆう(現岡山県倉敷市)を望む。塩飽しわく諸島の一。付近に浮ぶ歩渡ぶと島・大裸おおはだか島・小裸島・室木むろき島は属島だが、いずれも無人島で、大裸・小裸両島は岩礁に近い。塩飽島諸事覚によれば櫃石島の島回り一里五町、東西五町半・南北一五町。ほとんどが山地で、北東の隅にわずかに平坦部があり、集落を形成。島内最高の花見はなみ山から大浦おおうら地区にかけて旧石器が出土し、また大浦浜地区では縄文時代から中世に至る製塩土器および祭祀遺物が出土した。古墳群もあり、瀬戸内海航行の要衝であったことを推定させる。南北朝期には備前国に属しており、「園太暦」康永三年(一三四四)閏二月一日条に、仙洞御所で櫃石島に関する評定が行われたことが記され、同年二月二六日付の文殿廻状が「師守記」紙背にある。この廻状には「備前国児林庄内櫃石島」とみえ、紀州熊野山長床衆と南滝院僧正雑掌の双方に対し、正文を持参し文殿で相対するよう命じている(児林庄は現岡山県倉敷市林一帯に比定され、林に熊野神社・五流尊流院がある)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「櫃石島」の解説

櫃石島

香川県坂出市の坂出港北西約16キロメートルに位置する塩飽諸島の島。「ひついしじま」と読む。面積約0.93平方キロメートル。瀬戸大橋が架かる瀬戸内海の島のうち最も岡山県に近い。毎年1月に王子神社境内で行われる弓射神事「ももて祭」は県の無形民俗文化財に指定。隣接する無人島、歩渡島(ぶとじま)には砂州を歩いて渡ることが出来る。

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世界大百科事典(旧版)内の櫃石島の言及

【塩飽諸島】より

…〈しあくしょとう〉とも呼ぶ。おもな島は塩飽七島と呼ばれる本島(ほんじま),広島,牛島,手島(以上丸亀市),櫃石(ひついし)島,与島(坂出市),高見島(多度津町)である。古来,内海の水運の拠点であった。…

※「櫃石島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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