日本歴史地名大系 「坂出市」の解説 坂出市さかいでし 面積:九三・二一平方キロ県のほぼ中央部北端にあり、北は海に面する。東方の高松市、西方の丸亀市との中間に位置し、中讃地方の行政・経済の中核都市である。東は五色(ごしき)台の峰々を挟んで高松市・綾歌(あやうた)郡国分寺(こくぶんじ)町、南は城(き)山(四六二・三メートル)・飯野(いいの)山(讃岐富士、四二一・九メートル)などを挟んで同郡綾南(りようなん)町・綾歌町・飯山(はんざん)町、西は聖通寺(しようつうじ)山(一一六・七メートル)・角(つの)山(一八四・二メートル)などを間に同郡宇多津(うたづ)町・丸亀市に接する。綾南町との境にある府中(ふちゆう)湖を経た綾(あや)川が市域中央部をほぼ北西流して海に注ぎ、海上には塩飽(しわく)諸島に属する瀬居(せい)島・沙弥(しやみ)島・与(よ)島・羽佐(わさ)島・岩黒(いわくろ)島・櫃石(ひついし)島などが浮ぶ。市街地の大半は塩田跡地の埋立てによるもので、平地は綾川と青海(おうみ)川のつくる沖積地に限られ偏在している。東部および南部のほとんどは山地である。瀬居・沙弥の両島は昭和三九年(一九六四)に始まった番の洲(ばんのす)埋立てにより陸続きとなり、番の洲工業地帯を形成。また櫃石島・岩黒島・与島などには本州四国連絡橋児島(こじま)―坂出ルートの橋脚が造られ、同六三年四月橋の完成により本州と四国が連結した。この橋は鉄道橋・道路橋の併用で、JR瀬戸大橋線と瀬戸中央自動車道が通る。自動車道は番の洲町で陸地に上がり、聖通寺山・角山をかすめて南下し、川津(かわつ)町に出て坂出南インターチェンジで高松・丸亀両市に通ずる国道一一号に連絡する。このほか高松市とは臨海産業道路・高松坂出有料道路やJR予讃本線で結ばれ、丸亀市へも予讃本線が通ずる。飯山町・綾歌町へは国道四三八号がある。五色台と城山・飯野山一帯は瀬戸内海国立公園に含まれ、五色台白峰(しろみね)山上には白峯(しろみね)寺・崇徳天皇陵があり、城山には古代の城跡があって国の史跡に指定されている。市名坂出は、江戸後期に大規模な塩田が開発され、明治初期には旧丸亀城下を除いて中讃第一の大村となった坂出村を継承する。〔原始〕陸地部では国分寺町にまたがる国分(こくぶ)台や城山山頂一帯に多数の旧石器が散布する。弥生時代の遺跡は加茂(かも)町の烏帽子(えぼし)山(約二六五メートル)の五合目から山頂にかけて遺物が出土する烏帽子山遺跡があり、同町の明神原(みようじんばら)から銅鐸が出土している。また旧海岸部の高屋(たかや)町高屋遺跡は後期終末期に属し、製塩土器多数が出土、同期の製塩遺跡として貴重である。古墳は多く、前期に位置付けられるものに八幡(はちまん)町四丁目の田尾茶臼山(たおちやうすやま)古墳、西庄(にしのしよう)町の爺(じい)ヶ松(まつ)古墳・ハカリゴーロ古墳、府中町の横山(よこやま)古墳群・白砂(しらすな)古墳・タイバイ山(やま)古墳・向山(むかいやま)古墳、青海町の経の田尾(きようのたお)・すべり山(やま)古墳群などがあり、中期の府中町弘法寺(こうぼうじ)古墳からは舶載の画文帯神獣鏡が出土した。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「坂出市」の意味・わかりやすい解説 坂出〔市〕さかいで 香川県中部,丸亀平野の北東部を占め,瀬戸内海にのぞむ市。備讃諸島の与島,櫃石島,岩黒島,小瀬居島を含む。 1942年市制。 51年加茂村,53年与島村,54年府中村,55年川津村,56年松山村,王越村をそれぞれ編入。宇多津から田尾坂を越えて出たところにあるので,坂出の地名がついた。慶長7 (1602) 年赤穂の移住者が塩田を開き,文政 13 (1830) 年久米通賢が大塩田と港を造成。第2次世界大戦後塩田は姿を消し,瀬居島,沙弥島と市街地を結んだ番の州埋立て地が造成され,造船,アルミニウム精錬,石油などの大工場が立地し,県内最大の工業地区となった。南部の城山 (きやま。史跡) には朝鮮式山城跡があり,山麓に国府跡や古墳群など遺跡が多い。西部に府中・山内瓦窯跡 (史跡) がある。西庄町には四国八十八ヵ所の第 79番札所高照院,白峰山には第 81番札所白峯寺,崇徳上皇の白峰陵があり,南西麓の神谷神社本殿は国宝。北東部には瀬戸内海が一望できる景勝地五色台があり,南部の城山,飯野山周辺とともに瀬戸内海国立公園に属する。 1988年瀬戸大橋が完成,倉敷-坂出間に陸上交通路が開かれた。 JR予讃線,瀬戸大橋線が通り,瀬戸中央自動車道と国道 11号線を結ぶインターチェンジ,高松自動車道と結ぶ坂出ジャンクションがある。面積 92.49km2。人口 5万624(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by