昭和一〇年正丸峠の南西約二〇〇メートルの山中から、大量の古銭の入った壺が出土した。その数およそ八千枚。大半が宋銭であったことから、峠としての利用が相当古くから盛んだったと考えられている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
埼玉県南西部、飯能市(はんのうし)北西部にある峠。標高約650メートル。現在の正丸峠は、昭和の初めに自動車道路(現、国道299号)の開通に伴いつくられたもので、以前の峠は現在地より約1キロメートルほど北寄りの所にある。1982年(昭和57)飯能市と秩父(ちちぶ)郡横瀬町を結ぶ正丸トンネル(1918メートル)が開通。交通の難所も自動車で3、4分で通過できる。江戸時代は江戸と秩父を結ぶ往還で、秩父絹の輸送路であった。現在は県立奥武蔵(おくむさし)自然公園の中心部で、レストハウスなどがあり、ハイカーでにぎわう。旧峠付近には西武鉄道秩父線の正丸トンネル(4811メートル)が通じる。
[中山正民]
埼玉県南西部,外秩父の峠で,旧国道299号線が伊豆ヶ岳(851m)山稜を越える所にある。標高651mで,1938年に開削された。江戸時代,秩父絹を江戸へ運ぶルートであった旧正丸峠はここから1km北方にある。県立奥武蔵自然公園の中心で,伊豆ヶ岳への登山口にあたり,武甲山や奥武蔵の山々が一望でき,レストハウス,バンガローなどもあって,キャンプ場としてにぎわっていた。82年11月,北東の刈場坂峠との中間付近を国道299号線の正丸トンネルが開通したので,峠越えの道は市道となった。峠下を西武秩父線の正丸トンネル(4811m)が通り,トンネルは日本の私鉄では一番長かった(2008年現在の最長は新青山トンネル5652m)。
執筆者:新井 寿郎
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