比嘉春潮(読み)ヒガ シュンチョウ

20世紀日本人名事典 「比嘉春潮」の解説

比嘉 春潮
ヒガ シュンチョウ

大正・昭和期の郷土史家 元・沖縄古文書研究会顧問。



生年
明治16(1883)年1月7日

没年
昭和52(1977)年11月1日

出生地
沖縄県中頭郡西原間切翁長村(現・西原町)

本名
比嘉 春朝

学歴〔年〕
沖縄師範学校〔明治39年〕卒

主な受賞名〔年〕
沖縄タイムス文化賞〔昭和34年〕,沖縄県文化功労者〔昭和48年〕

経歴
明治39年小学校教員となり、大正3年31歳で玉城小学校校長となったが、7年退職して「沖縄毎日新聞」「沖縄朝日新聞」記者となり、さらに8年沖縄県庁に転じた。宮古へ出張の船中で柳田國男と知り合い、12年県庁を辞めて上京改造社に入社、出版部主任となった。かたわら柳田に師事、伊波普献らと共に南島談話会に加わり、民俗学雑誌「南島談話」「島」などを刊行した。昭和19年改造社を辞め小山書店に入ったが25年退社、沖縄の民俗、文化の研究(沖縄学)に従事。一方、沖縄人連盟、沖縄文化協会、沖縄歴史研究会の創設に参加、戦後沖縄の日本復帰運動を支持した。34年には長年の沖縄研究の成果をまとめ「沖縄の歴史」を出版、著書は他に共著の「沖縄」、自伝「沖縄の歳月」、「比嘉春潮全集」(全5巻 沖縄タイムス社)などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「比嘉春潮」の意味・わかりやすい解説

比嘉春潮
ひがしゅんちょう
(1883―1977)

沖縄の歴史・民俗研究者。明治16年1月9日沖縄本島中部西原間切(まぎり)(西原町)に生まれる。沖縄県師範学校卒業後教師となり校長に累進したが、思うところがあって教育界を退き、新聞記者吏員となった。その間、エスペラント運動や社会主義思想学習運動など新思潮普及に尽力した。1923年(大正12)上京、改造社に入社して編集者となるかたわら、柳田国男(やなぎたくにお)・伊波普猷(いはふゆう)に師事して民俗学・沖縄研究に取り組んだ。第二次世界大戦後、沖縄人連盟の創立に参加、沖縄文化協会の中心メンバーとなるなど一貫して沖縄の将来を憂えつつ、じみな研究活動を東京で続けた。昭和52年11月1日没。主著に『沖縄の歴史』(1959)がある。

[高良倉吉 2019年2月18日]

『崎浜秀明他編『比嘉春潮全集』全5巻(1971~1973・沖縄タイムス社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「比嘉春潮」の解説

比嘉春潮 ひが-しゅんちょう

1883-1977 大正-昭和時代の歴史学者。
明治16年1月9日生まれ。小学校長,新聞記者,沖縄県職員をへて,大正12年上京。柳田国男,伊波普猷(いは-ふゆう)に師事して沖縄研究,民俗学にうちこむ。戦後,沖縄人連盟の創立や沖縄文化協会設立にくわわった。昭和52年11月1日死去。94歳。沖縄県出身。沖縄師範卒。本名は春朝。著作に「沖縄の歴史」など。

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百科事典マイペディア 「比嘉春潮」の意味・わかりやすい解説

比嘉春潮【ひがしゅんちょう】

沖縄史学者。沖縄県生れ。沖縄師範学校卒。1923年上京し,出版社勤務のかたわら,柳田国男の南島研究に参加し,1948年沖縄文化協会を設立。在野の研究者として,民俗学,歴史学を通しての沖縄研究に取り組んだ。主著《沖縄》《沖縄の犯科帳》。《比嘉春潮全集》5巻がある。

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367日誕生日大事典 「比嘉春潮」の解説

比嘉 春潮 (ひが しゅんちょう)

生年月日:1883年1月9日
大正時代;昭和時代の郷土史家
1977年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の比嘉春潮の言及

【沖縄学】より

… 第2次大戦後は72年の〈施政権返還〉を画期として大別されよう。戦後初期の段階は沖縄が米軍施政下にある状況下で在京の比嘉春潮(ひがしゆんちよう)(1883‐1977),仲原善忠(なかはらぜんちゆう)(1890‐1964)らが東京に沖縄文化協会を設立(1948),沖縄研究を再出発させた。現地大学や本土留学によってしだいに戦後世代の若手研究者も育ち,〈日本復帰運動〉の高揚とも連関しながら研究は学際的な進展をみせた。…

※「比嘉春潮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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