日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカポライト」の意味・わかりやすい解説
スカポライト
すかぽらいと
scapolite
テクト珪(けい)酸塩鉱物の一種。正方柱状の結晶をなすことが多いが、粒状、塊状でも産する。柱石(ちゅうせき)ともいい、端成分としてナトリウムを含む曹柱石(そうちゅうせき)marialiteと、端成分としてカルシウムを含む灰柱石(かいちゅうせき)meioniteの固溶体系列をさす。また、灰柱石の組成のうち、炭酸基を硫酸基で置換されたものがあり、これはシルビアライトsilvialiteという別種である。これら3種がスカポライトグループに含まれ、スカポライト自体は独立した鉱物種名ではない。長石に似ているが、劈開(へきかい)が直交する点と、塩酸で分解しやすい点で区別できる。両端成分に近いものは世界的にも産出はきわめてまれで、大部分が中間成分のものである。石灰岩接触帯に灰礬(かいばん)ざくろ石、珪灰(けいかい)石、ベスブ石、透輝石、透閃(とうせん)石などと産する。また、高温でできた広域変成岩中、閃緑岩や斑糲(はんれい)岩アプライト中にも産する。英名は、その形態から、柱を意味するギリシア語に由来する。
[松原 聰]