スカポライト(読み)すかぽらいと(英語表記)scapolite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカポライト」の意味・わかりやすい解説

スカポライト
すかぽらいと
scapolite

テクト珪(けい)酸塩鉱物の一種。正方柱状の結晶をなすことが多いが、粒状、塊状でも産する。柱石(ちゅうせき)ともいい、端成分としてナトリウムを含む曹柱石(そうちゅうせき)marialiteと、端成分としてカルシウムを含む灰柱石(かいちゅうせき)meioniteの固溶体系列をさす。また、灰柱石の組成のうち、炭酸基を硫酸基で置換されたものがあり、これはシルビアライトsilvialiteという別種である。これら3種がスカポライトグループに含まれ、スカポライト自体は独立した鉱物種名ではない。長石に似ているが、劈開(へきかい)が直交する点と、塩酸で分解しやすい点で区別できる。両端成分に近いものは世界的にも産出はきわめてまれで、大部分が中間成分のものである。石灰岩接触帯に灰礬(かいばん)ざくろ石、珪灰(けいかい)石、ベスブ石透輝石、透閃(とうせん)石などと産する。また、高温でできた広域変成岩中、閃緑岩や斑糲(はんれい)岩アプライト中にも産する。英名は、その形態から、柱を意味するギリシア語に由来する。

松原 聰]


スカポライト(データノート)
すかぽらいとでーたのーと

スカポライト
 英名    scapolite
 化学式   (Na,Ca)4Al3-6Si9-6O24(Cl,CO3,SO4)
 少量成分  S
 結晶系   正方
 硬度    5.5~6
 比重    2.5~2.8
 色     無,白,灰
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    二方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照)
  曹柱石(マリアライト marialite)
     Na4Al3Si9O24Cl
  灰柱石(メイオナイト meionite)
     Ca4Al6Si6O24(CO3)
  シルビアライト silvialite
     Ca4Al6Si6O24(SO4)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカポライト」の意味・わかりやすい解説

スカポライト
scapolite

X4Y12O24・Z 。X の位置にはカルシウム,ナトリウムおよび少量のカリウム,マグネシウム,鉄(II),マンガン(II),チタンなどが入り,Y にはケイ素,アルミニウムが入る。Z には塩素,フッ素,OH ,CO3 ,SO4 などが入る。正方晶系。比重 2.50~2.78 ,硬度 5~6 。劈開 {100} および {110} に良好。柱面および錐面の発達した結晶。無色,白色,淡菫色,淡青色,淡桃色など。近似的にマリアライト Na4(Al3Si9O24)Cl とメイオナイト Ca4O(Al6Si6O24)CO3 を端成分とする固溶体系列とみなされる。カルシウムに富む広域変成岩,あるいは接触変成岩中にしばしば産する。短柱状の外形にちなんで,ギリシア語の skapos (棒) から命名された。

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