気成作用(読み)キセイサヨウ(その他表記)pneumatolysis; pneumatolytic process

デジタル大辞泉 「気成作用」の意味・読み・例文・類語

きせい‐さよう【気成作用】

マグマ固結末期に、マグマから分離した高温ガス成分によって鉱物が生成したり岩石が変質したりする作用

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精選版 日本国語大辞典 「気成作用」の意味・読み・例文・類語

きせい‐さよう【気成作用】

  1. 〘 名詞 〙 マグマが固結する末期に、各種の重金属ハロゲン化物を含む高温のガス状物質が、岩石と反応して鉱床をつくる作用。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「気成作用」の意味・わかりやすい解説

気成作用
きせいさよう
pneumatolysis; pneumatolytic process

マグマから分離した高温のガスによって鉱物が直接晶出したり,岩石の交代変質が起るような作用。昇華作用,ガスとガスの反応による鉱物の生成作用 ( SnF4(g)+2H2O(g)→SnO2+4HF(g) など) ,およびガスと岩石の反応による新しい鉱物種の生成作用などをいう。関与するものがガス相の場合を気成作用といい,水溶液相の熱水作用と区別する。岩石のグライゼン化や,スズ石,電気石,斧石,トパーズ,蛍石スカポライトなど,スズホウ素リチウムフッ素塩素などの元素を含む鉱物を生成する変質作用や,スズ石を主とするスズの鉱床の生成がこの作用の例とされてきた。しかし,鉱物の流体包有物の研究から,従来気成作用によるとされてきたものの大部分は,熱水作用によるものであることが指摘されている。

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化学辞典 第2版 「気成作用」の解説

気成作用
キセイサヨウ
pneumatolysis

ガス体の作用によって種々の鉱物が晶出することをいう.一般に,マグマは揮発性の物質を含んでいる.主たるものは水蒸気であるが,CO2,H2S,HCl,NH4Clなどのほかに各種の金属元素のガス状をなす揮発性化合物をまじえている.マグマの温度がこれらの物質の臨界温度以下になると固体として現れる.きょう鉄鉱の細りん片状の結晶溶岩の空げきに発見されるのがよい例である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「気成作用」の意味・わかりやすい解説

気成作用【きせいさよう】

マグマの固結の残液について,かつて水の臨界温度以上では気相状態であり,それに含まれるフッ素,塩素,ホウ素などから電気石,フ(斧)石,トパーズ,蛍石,リン灰石,柱石などの鉱物が晶出して鉱床ができたり,また岩石が水蒸気やこれら元素の作用で変質すると考えられた。これらの作用を一括して気成作用と呼んだ。最近では高温の熱水作用と考えられている。
→関連項目気成鉱床

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岩石学辞典 「気成作用」の解説

気成作用

最初にブンゼンは火山ガスや蒸気の影響によって鉱物が形成される過程としたが[Bunsen : 1851],ブレガーは広く解釈してマグマの揮発性成分によって鉱物の全部または一部が形成されるすべての過程をいうとした[Brögger : 1850].一般には固結しつつあるマグマから放出されたガスの作用により,岩石が変質するか鉱物が生成する作用をいう.ギリシャ語のpneumatosは空気,ガスの意味.

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