水先ともいう。船を嚮導(きようどう)することで,その任に当たる者を水先人(パイロットpilot)という。多くの国において,沿岸,河川,水道,港湾など地方的特殊水路事情に精通した者に水先人としての資格を認め,水先の免許を与えていることからみても,かつては航海の指導,航路の指示が主たる技術的内容であった。ヨーロッパの北海水先,日本の内海水先などにその形が残ってはいるが,現在では水路,気象などの自然的条件がきびしく,航行規則など人為的条件も複雑な水域で船を操縦する運航技術の指導ないし助言へと重点が移りつつあるといえよう。日本の〈水先法〉によれば,水先とは定められた水域(水先区という)において船に乗り込み,その船を導くことと規定され,水先人の免許の要件,水先人以外の者の水先行為の禁止なども定められている。水先人の免許を受けるには,3000総トン以上の船舶の船長経歴が3年以上あり,水先人になろうとする水先区で一定期間実務を修習し,運輸大臣の行う水先人試験(身体検査,学術試験)に合格することを要し,免許を受けたあとも5年目ごとに更新を受けなければならない。2007年の政令で定める35水先区のうち,強制水先とされている10水域(横浜川崎区,横須賀区,東京湾区,伊勢三河湾区,大阪湾区,備讃瀬戸区,来島区,関門区,佐世保区,那覇区)では,船の安全かつ能率的な運航を維持するため,一定の船の船長には水先人を乗り込ませる義務がある。その他の水先区は船長の要請を受けて水先人が乗り込むいわゆる任意水先である。船長は正当な事由がない限り乗り込んできた水先人に水先をさせなければならず,水先人も正当な事由がない限り求めに応じて誠実に水先をしなくてはならない。水先人は事実上船の操縦を任されるといえるが,強制水先であっても任意水先であっても船の運航上の責任と権限は船長にある。水先人が水先をしたときは,報酬として,船の総トン数と喫水を標準として定められている水先料の支払を受ける。なお,各水先区の水先人の最低員数は国土交通省令で定められている。
執筆者:平井 顕
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…その後同様の素材および17世紀の植民者とインディアンというアメリカの〈歴史〉を扱った《ライオネル・リンカン》(1825),《ウィッシュ・トン・ウィッシュの悲話》(1829),《ウィアンドテ》(1843)などを書いて新しい国の文学への道を開いた。また子どものときに過ごしたニューヨーク州の大森林と湖,青年期を過ごした水夫および海軍士官の生活を,《水先案内》(1823),《二人の提督》(1842)その他で題材とした。つまり森と海という二つの辺境,そして植民時代,独立革命を含むアメリカの過去を〈アメリカ〉文学の題材として開拓し,また後続の作家たちに道を開いた。…
※「水先案内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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