高さの基準点として,その標高(ジオイドからの高さ)が直接水準測量によって定められた点。水準点は,地形図の作成や各種土木測量に必要な高さの基準点としての役割を果たしている。また,水準点間の比高を繰返し測定することにより,水準点が設置されている地域の土地の上下変動を知ることができ,地盤沈下調査や地震予知にも利用されている。水準点は長期間にわたって高さの基準点としての役割を果たすため,できるだけ地盤堅固な場所を選んで設置されている。
水準測量の原理から,各地点の標高を決めるには,最初に標高の基準となる点が必要である。日本全国にわたる測量では,全国で共通する高さの基準を用いることが必要である。このために,日本水準原点(東京都千代田区永田町1丁目1番地)が設置された。その標高は,東京都霊岸島において測定した1873年から79年までの平均海水面(これを東京湾平均海水面という)をもとに,24.5000mと定められた。しかし,関東大震災(1923)によって日本水準原点の地盤が86.0mm沈下したため,1928年にその標高は24.4140mと改められ現在にいたっている。したがって,ある点の標高とは,その点から鉛直線にそって測ったジオイド面までの距離と定義されるが,具体的には日本水準原点に準拠して定められるもので,日本水準原点下24.4140mを標高0.0000mとしたときの高さである。日本水準原点設置後,主要道路に沿って精密な水準測量(一等水準測量)が実施され,約2kmごとに標高の永久標識である一等水準点(1982年現在約1万7700点)が設けられた。一等水準点をつなぐ経路を一等水準路線という。土地利用度の高い平野地域では,水準点の密度を高める必要があり,二,三等の水準点も設けられている。こうした水準路線網により,本州,四国,九州,北海道では,日本水準原点に準拠した水準点の標高が求められている。佐渡島をはじめとする離島では,日本水準原点に準拠した標高を求めることが困難であるので,独自の水準原点を定め,それにもとづいて高さが決定されている。
執筆者:中堀 義郎
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水準測量により標高の求められた点。一等および二等水準測量で求められた点は、それぞれ一等および二等水準点といい、花崗岩(かこうがん)製の水準標石が埋設されている。二等水準点や各地方自治体などが設置した水準点などでは金属標が埋設されていることもある。
[尾崎幸男 2016年11月18日]
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