水落遺跡(読み)みずおちいせき

日本歴史地名大系 「水落遺跡」の解説

水落遺跡
みずおちいせき

[現在地名]明日香村大字飛鳥小字水落

七世紀代の石敷遺構検出された飛鳥小学校の南側にある。昭和四七年(一九七二)一〇月から翌年一月にかけて、奈良国立文化財研究所と奈良県とが共同調査を行い、石組の溝一、礎石掘方列一、掘立柱列などを検出した。

石組溝は径六〇―八〇センチの自然石を組上げて正方形にめぐらせた大規模な堀状の遺構である。溝の幅は底では約一・八メートル、上部は約五・四メートルを計測

水落遺跡
みずおとしいせき

[現在地名]小林市細野 水落

市街地の南方約一・五キロの丘陵上に位置する。平成元年(一九八九)に発掘調査が行われ、縄文時代後期の土壙一基、弥生時代後期の竪穴住居跡六軒、中世の掘立柱建物跡七棟と溝状遺構九本、近世墓四三基などが検出された。縄文時代の遺物では後期の三万田式土器とみられる黒色研磨土器が大半を占める。弥生時代後期の竪穴住居は円形プラン四軒と方形プラン二軒からなり、時期は出土土器から後期後葉から末葉に比定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水落遺跡」の意味・わかりやすい解説

水落遺跡
みずおちいせき

奈良県中部,明日香村飛鳥字水落に所在する飛鳥時代の水時計台遺跡。1976年奈良国立文化財研究所(→奈良文化財研究所)の 1次調査で特異な楼閣状遺構を検出,翌 1977年国の史跡に指定された。1981年の 2次調査で,貼石を有する 1辺 22.5mの正方形版築基壇上に,地中梁工法を用いた 4間×4間,1辺 11.2mの高楼状礎石建物の存在が判明した。建物の規格は唐尺による設計と推定。基壇中央部より巨大な長方形土壙(どこう)を検出し,その内部に切石基壇を設け,漆塗木箱を安置,飛鳥川より引いた水を木樋・銅管で供給する半地下式の施設があった。また遺跡からは 7世紀後半でも早い時期の土器が見つかった。以上と『日本書紀』斉明天皇6(660)年の条の「皇太子,初めて漏刻を造る。民をして時を知らしむ。」の記事との対応から,中大兄皇子(→天智天皇)によって日本で最初につくられた漏刻台(陰陽寮所属の水時計台)であることが確実となった。この水時計はその後の流体力学的解析により,唐の呂才(649没)が実用化した 4段式水時計で,サイホン原理を利用した高度なものと推定された。高楼は鐘で時を告げる鐘楼と考えられる。

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