共同通信ニュース用語解説 「水道事業」の解説
水道事業
公共性が高いため主に自治体が運営している。一部は効率化などを理由に民間に委託している。給水人口が5001人以上は上水道事業、5千人以下は簡易水道事業と呼ばれる。公金を投入せず、主に料金収入を財源に運営する独立採算が原則。しかし人口減少に伴う料金収入の低下などで、不足分を一般会計の財源で穴埋めする自治体は多い。
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公共性が高いため主に自治体が運営している。一部は効率化などを理由に民間に委託している。給水人口が5001人以上は上水道事業、5千人以下は簡易水道事業と呼ばれる。公金を投入せず、主に料金収入を財源に運営する独立採算が原則。しかし人口減少に伴う料金収入の低下などで、不足分を一般会計の財源で穴埋めする自治体は多い。
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一般の需要に応じて水道によって水を供給する事業。近代の水道は1887年(明治20)に横浜に創設されたが、1890年に公布された「水道条例」によって水道公営の方針が確立された。「水道法」(昭和32年法律177号)による水道事業には、給水人口100人以下のものは含まれず、給水人口5000人以下の場合は簡易水道事業とよばれる。さらに、これらの水道事業者にその用水を供給する事業を水道用水供給事業といい、寄宿舎・社宅等の自家用水以外に100人以上に給水するものを専用水道という。
水道事業は、公共性、公衆衛生などの見地から、事業経営には厚生労働大臣の認可を要し、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外のものでも、給水対象地域の市町村の同意を得たうえ厚生労働大臣の認可を受ければ水道事業を経営できる。水道事業者は、水道の供給条件について供給規程を定め、給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。ただし、給水を受ける者が、料金を払わないとき、正当な理由なしに給水装置の検査を拒んだとき、その他正当な理由があるときは、給水を停止することができる。このほか、水道事業者には、水道技術管理者を置き、定期または臨時に水質検査をし、従業者等に健康診断をし、必要な衛生上の措置をし、消火栓を設定するなどの義務が課せられる。
水道用水供給事業の経営も、厚生労働大臣の認可を受けなければならず、事業内容の変更についても厚生労働大臣の認可を必要とする。事業者の負う義務は水道事業の場合とほぼ同様である。専用水道については、その布設工事をするには、都道府県知事の確認を必要とし、水道事業に関する一定の規定が準用される。
水道事業者等に対する行政上の監督手段としては、事業認可の取消し、施設改善命令、給水停止命令、供給条件の変更命令、報告の要求、立入検査、水道用水の緊急応援、合理化の勧告、地方公共団体による買収などが定められている。
飲用水その他日常生活に必要な水を供給する水道の使命は、清浄にして豊富低廉な水を供給することにある。水道法は、水道料金が公共料金であることから、水道事業の料金の設定は厚生労働大臣の認可を必要とし、適正な原価に照らし公正妥当なものであるべきこと(原価主義)を規定している。また料金の変更は、公営の水道事業の場合は厚生労働大臣に届け出なければならず、私企業の場合は厚生労働大臣の認可制であり、著しく不当となった料金に対してはその変更を命ずることができる。わが国の水道事業は公営が大部分であるが、その料金制度は、官公署、公衆浴場、営業用など使用者の業種・用途によって単価に等差をつける業種(用途)別料金制をとっているものが圧倒的に多い。今日の水道事業は、人口の急激な都市集中、大企業用水需要の急増などに伴い、水源の不足、水質の悪化、独立採算制の維持など深刻な問題に直面している。
[宮田三郎]
…現在では都市への用水供給施設のうち,飲用(家庭用)を目的に含めていない水道(工業用水道など)に対して,飲用水の供給施設を一般に上水道と呼んでいる。行政用語としては〈水道事業〉を計画規模によって上水道(計画給水人口5001人以上)と簡易水道(101人以上5000人以下)に分けているほか,水道局へ浄水を卸売する用水供給事業,特定の対象に給水する専用水道に区分している。また水道事業とは別に農山村にごく小規模ながら営農水道,飲雑用水供給施設,共同井戸などと呼称されている水道がある。…
※「水道事業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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