水間寺(読み)みずまでら

精選版 日本国語大辞典 「水間寺」の意味・読み・例文・類語

みずま‐でら みづま‥【水間寺】

大阪府貝塚市水間にある天台宗別格本山山号は龍谷山。天平一六年(七四四聖武天皇の勅により行基の創建と伝えられる。本尊は聖観世音菩薩。境内愛染堂の前にお夏清十郎の墓がある。水間観音

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日本歴史地名大系 「水間寺」の解説

水間寺
みずまでら

[現在地名]貝塚市水間

秬谷きびたに(大川)蕎原そぶら川の合流点にあり、天台宗で山号龍谷山、本尊聖観音。同宗別格本山。俗に水間観音の名で知られる。寺伝によると天平一六年(七四四)聖武天皇の勅命によって行基が開創、行基開基四十九院の一つと伝える。開創当初は七堂伽藍を備え、坊院一五〇余が存していたという。

水間寺記録(井手家文書)に綸旨院宣五八通、法親王庁下二通、庁宣四通、御教書二六通、両六波羅長下知状二通、金堂供養寺家置文八通などの寺蔵文書目録を載せ、朝廷の尊敬を得た大寺院であったことをうかがわせる。嘉禄三年(一二二七)一〇月日付の和泉国司庁宣案(同文書)、同年同月二〇日の六波羅御教書案(同文書)によると、馬場ばば村にある水間寺免田七町の地頭押領が停止されているが詳細は不明。

南北朝時代になると正平六年(一三五一)四月日付楠木正儀安堵状(井手家文書)に「和泉国木島郷水間寺、聖武天皇之御願、行基菩薩御建立之寺院也、於別当職寺僧中分相伝、管領寺田地、所致御祈祷也」とみえ、南朝方から別当職と寺領が安堵され、軍勢などの乱入が禁止されている。また旧霊椿院境内には正平二一年銘の宝篋印塔があり、この頃には南朝に属していたようである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水間寺」の意味・わかりやすい解説

水間寺
みずまでら

大阪府貝塚市水間にある天台宗の寺。同宗の別格本山。龍谷山(りゅうこくざん)と号し、俗に水間観音(かんのん)の名で知られる。本尊は聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)。寺伝によると、744年(天平16)聖武(しょうむ)天皇の勅命により行基が開創したとされる。坊院150を数え隆盛を誇ったが、1585年(天正13)豊臣(とよとみ)秀吉根来(ねごろ)攻撃の際に根来方につき、焼打ちされたが、歴代の岸和田城主により再建された。境内には、縁結びの愛染(あいぜん)堂、お夏・清十郎(せいじゅうろう)の墓がある。正月三が日に千本つき(十六童子餅(もち)つき)を行う。

[田村晃祐]

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デジタル大辞泉プラス 「水間寺」の解説

水間寺

大阪府貝塚市にある寺院。天台宗別格本山。山号は龍谷山、本尊は聖観世音菩薩。744年、行基による開創と伝わる。通称、水間観音。

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