ドイツの劇作家ハウプトマンの戯曲。1896年発表。自然主義者として登場したハウプトマンが、新ロマン主義的な新しい作風を示したメルヘン劇。シュレージエンの山の精たちを調伏するために鐘造り師ハインリヒの鋳た鐘は、この魔物たちによって湖底に沈められ、彼も負傷するが、妖精(ようせい)のような山の乙女ラウテンデラインに介抱される。野性の乙女はハインリヒを愛するようになり、村人に連れ戻された彼の後を追って人里にくる。ハインリヒは妻マグダを捨てて乙女と山に入り、牧師の説得にも耳を貸さず「日の神」のための鐘をつくろうとするが、わが子に妻が湖に身を投げたことを聞かされ、また村に戻る。乙女はその間に水の精の妻になってしまう。彼はこの乙女の養母である妖婆に彼女との再会を頼み、命と引き換えに乙女の接吻(せっぷん)を受け、太陽を仰ぎながら死ぬ。
日本では非常に愛好され、泉鏡花などにも影響を与えたが、現在ドイツではほとんど評価されていない。ハウプトマンの場合、芸術家をテーマとし、道具立ての多いこの象徴劇より、写実的な作品のほうが優れている。
[岩淵達治]
『秋山英夫訳『沈鐘』(『ノーベル賞文学全集19』所収・1972・主婦の友社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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