改訂新版 世界大百科事典 「油料作物」の意味・わかりやすい解説
油料作物 (ゆりょうさくもつ)
ナタネ,ゴマ,トウゴマ,エゴマ,ラッカセイ,オリーブ,ダイズなど,油の採取を目的として栽培される作物。作物分類では工芸作物に含まれる。ナタネが日本で採油を目的として栽培されるようになったのは1600年ころからで,明治年間には作付面積17万ha,収穫高12万tにも及んだが,現在では2100ha,3800t(1982)しかない。世界の主要生産国はカナダ,ついでインド,中国である。ナタネ油は主として食用であり,てんぷら油,サラダ油,マーガリン,菓子製造用に用いられる。ゴマは日本では輸入ものが多い。世界の主要生産国はインド,中国,スーダンである。その子実は炒(い)って食用とするか,搾油して調理用に用いる。ラッカセイは日本では宝永年間(1704-11)に中国より伝来したが,実際に作付けされたのは明治初期からである。現在の作付面積は1.3万ha,生産高は3万t(1996)ほどで,主要産地は千葉県,茨城県である。世界の主要生産国はインドが3割近くを占め,中国,アメリカなどが続く。日本ではラッカセイの搾油はほとんど行われていない。ダイズは日本産はみそ・しょうゆ・豆腐などの食用として用いられるが,輸入ダイズは大半が搾油される。日本における植物油生産の半分は輸入ダイズからのもので,ナタネ油を抑え最も多い。世界の主要ダイズ生産国はアメリカが6割前後で,中国,ブラジルが続く。オリーブ油はスペイン,イタリア,ギリシアの南欧各国が生産の大部分を占め,乾燥油として用いられる。亜麻仁油はアルゼンチン,カナダ,インド,ヒマワリ油は旧ソ連,アメリカ,アルゼンチン,パーム油はマレーシア,ナイジェリア,インドネシアが主要生産国である。
執筆者:岡部 守
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報