油日岳(六九四メートル)の山麓にある。
「三代実録」元慶元年(八七七)一二月三日条に「油日神」とみえ、五位下に進階している。また「源平盛衰記」巻四一には「大原庄油日明神の列」とある。室町時代の成立と考えられる社蔵の「油日大明神縁起」に、「尋当社明神影向最初、起上宮太子降臨、於江州甲賀郡大原郷新庄上野東山嶽、造立社壇、奉崇敬油日大明神者也」とあり、聖徳太子によって創建されたとしている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
滋賀県甲賀(こうか)市甲賀町油日、油日岳の西麓(せいろく)に鎮座。祭神は油日神(あぶらひのかみ)で、記紀にもみえず、また油日の地名も全国に見当たらず、この地においてのみ信仰されてきた神である。相殿(あいどの)に、罔象女命(みずはのめのみこと)、猿田彦命(さるたひこのみこと)を祀(まつ)る。畿内(きない)に近く、また油日岳を神体山とする信仰であるところより、その創建年代はかなり早いものとみられるが未詳。『三代実録』によると、877年(元慶1)に従(じゅ)五位下の神階が授けられている。旧県社。例祭は5月1日の「油日祭」、9月13日の油日岳頂上で行われる「油祭」で、全国の油脂業者はじめ多くの人々でにぎわう。油日祭には5年に一度行われる奴振(やっこぶ)りは県の無形民俗文化財、不定期に行われる太鼓踊り(大踊り、小踊り)は国の選択無形民俗文化財。本殿は室町時代の建築で、拝殿、楼門、回廊とともに国の重要文化財。境内には甲賀歴史民俗資料館がある。
[白山芳太郎]
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…戦国時代に当地の武士は甲賀衆,甲賀者と呼ばれ,伊賀者と並んで忍びの術で知られた。鈴鹿山麓の油日神社では毎年5月1日に重要無形民俗文化財に指定された太鼓踊が奉納される。神社の本殿,拝殿などは室町~桃山時代の建築で,重要文化財になっている。…
※「油日神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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