油日神社(読み)あぶらびじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「油日神社」の意味・読み・例文・類語

あぶらび‐じんじゃ【油日神社】

  1. 滋賀県甲賀市甲賀町油日にある神社。旧県社。祭神は油日神ほか二柱。神体は油日岳。油の祖神とされる。社殿は国重要文化財

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日本歴史地名大系 「油日神社」の解説

油日神社
あぶらひじんじや

[現在地名]甲賀町油日

油日岳(六九四メートル)の山麓にある。甲賀こうか郡総社とされ、祭神は油日神を主神として猿田彦さるたびこ命・罔象女みつはのめ命を配する。旧県社。社伝によれば、油日岳の頂上大明神が降臨し、油の火のような大光明を発したので油日の名が付けられたという。油日岳の頂上には、だけ大明神(油日大明神・通山大明神)とよばれる奥宮が祀られる。毎年八月一一日の夕方から旧油日谷七郷(油日谷七ヵ村、油日・櫟野・上野・栖山・毛牧・田堵野・野の各集落)の氏子代表が、神奈備山にあたる油日岳に登って参籠し、翌日山神の荒魂を山麓の里宮である油日神社に迎える伝統行事が続けられている。神体山信仰の「御生祭」の形態を現在に残す興味深い例といえよう。

「三代実録」元慶元年(八七七)一二月三日条に「油日神」とみえ、五位下に進階している。また「源平盛衰記」巻四一には「大原庄油日明神の列」とある。室町時代の成立と考えられる社蔵の「油日大明神縁起」に、「尋当社明神影向最初、起上宮太子降臨、於江州甲賀郡大原郷新庄上野東山嶽、造立社壇、奉敬油日大明神者也」とあり、聖徳太子によって創建されたとしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「油日神社」の意味・わかりやすい解説

油日神社
あぶらひじんじゃ

滋賀県甲賀(こうか)市甲賀町油日、油日岳の西麓(せいろく)に鎮座。祭神は油日神(あぶらひのかみ)で、記紀にもみえず、また油日の地名も全国に見当たらず、この地においてのみ信仰されてきた神である。相殿(あいどの)に、罔象女命(みずはのめのみこと)、猿田彦命(さるたひこのみこと)を祀(まつ)る。畿内(きない)に近く、また油日岳を神体山とする信仰であるところより、その創建年代はかなり早いものとみられるが未詳。『三代実録』によると、877年(元慶1)に従(じゅ)五位下の神階が授けられている。旧県社。例祭は5月1日の「油日祭」、9月13日の油日岳頂上で行われる「油祭」で、全国の油脂業者はじめ多くの人々でにぎわう。油日祭には5年に一度行われる奴振(やっこぶ)りは県の無形民俗文化財不定期に行われる太鼓踊り(大踊り、小踊り)は国の選択無形民俗文化財。本殿は室町時代の建築で、拝殿、楼門、回廊とともに国の重要文化財。境内には甲賀歴史民俗資料館がある。

[白山芳太郎]


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デジタル大辞泉プラス 「油日神社」の解説

油日神社

滋賀県甲賀市にある神社。「あぶらひじんじゃ」と読む。創祀は不明。祭神は油日大神、猿田彦神(さるたひこのかみ)、罔象女神(みつはのめのかみ)。油の火の神として信仰を集める。本殿、拝殿などは国の重要文化財、毎年5月に行われる例大祭油日まつりで奉納される太鼓踊りは国の重要無形民俗文化財に指定。

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事典・日本の観光資源 「油日神社」の解説

油日神社

(滋賀県甲賀市)
湖国百選 社/寺編」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の油日神社の言及

【甲賀[町]】より

…戦国時代に当地の武士は甲賀衆,甲賀者と呼ばれ,伊賀者と並んで忍びの術で知られた。鈴鹿山麓の油日神社では毎年5月1日に重要無形民俗文化財に指定された太鼓踊が奉納される。神社の本殿,拝殿などは室町~桃山時代の建築で,重要文化財になっている。…

※「油日神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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