自治体が条例に基づき独自に新設できる税金「法定外税」のうち、使い道を定めずに徴収する税。原発立地自治体が事業者に課す核燃料税や、静岡県熱海市の別荘等所有税、大阪府泉佐野市の空港連絡橋利用税などがある。2021年度の税収は約500億円で、新設するには総務相の同意が必要となる。法定外税のうち、使い道をあらかじめ特定する場合は「法定外目的税」と呼ばれ、産業廃棄物税や宿泊税などの事例がある。
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地方公共団体が、地方税法で規定されている普通税(法定普通税)のほかに、地方公共団体自らの必要性と主体性により設けることのできる普通税である。
1999年(平成11)7月「地方分権一括法」の制定によって地方税法が改正され(2000年4月施行)、地方公共団体が法定外普通税を新設または変更する場合には、総務大臣(省庁再編関係法施行の2001年1月までは自治大臣)と協議し、その同意を得ることになった。従来は、その新設あるいは変更については、あらかじめ自治大臣の許可を要するとされており、しかも許可要件として、地方公共団体にその税収入を確保する税源があり、かつその財源を必要とする財政需要があることを前提としていた。この「財源の存在および財政需要の有無」要件についても、地方分権一括法によって協議事項から除外されることになった。
ただし、次に掲げるような事由があるときは、総務大臣は同意しなくてもよいことになっている。これについては従来の「許可制」の場合と変わりがない。
(1)国税または他の地方税と課税標準を同じくし、かつ住民の負担が著しく過重となること。
(2)地方公共団体間における物の流通に重大な障害を与えること。
(3)国の経済政策に照らして適当でないこと。
法定外普通税の課税客体、課税標準、税率、徴収の方法などは地方公共団体の条例で定められるが、地方公共団体はその区域外に所在する土地、家屋、物件およびこれらから生ずる収入、またその区域外に所在する事業所および事業所で行われる事業ならびにこれらから生ずる収入などに対しては、法定外普通税を課することができない。
1999年度現在、都道府県の法定外普通税としては、石油価格調整税(納税義務者―以下同じ―揮発油の精製業者等)、核燃料税(発電用原子炉の設置者)および核燃料関係2税(原子炉の設置者、核燃料廃棄物の管理者・処理者等)のあわせて4税が、また市町村の法定外普通税としては、砂利採取税(砂利等の採取者)、別荘等所有税(別荘等所有者)がある。
なお、地方分権一括法によって、前記の法定外普通税に加えて、「法定外目的税」が創設された。その新設あるいは変更の要件は、ほとんど法定外普通税と同様である。地方分権の推進の掛け声のもとに、地方公共団体の課税自主権を保障する柱の一つとされている法定外税(普通税と目的税)であるが、それらが今後、地方公共団体の財政力を強化することにつながるか、地方税源が限定されている現状では限界があろう。
[中野博明]
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