法系(読み)ほうけい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

法系
ほうけい

世界に存する多数の法秩序を一定の基準に従って,その親縁関係に応じ分類した場合,同一の系統に属するもの。非技術的な概念の法圏を法系と同義に用いることもある。法系の分類法は学者によって異なるが,元来相対的なものであり,ある国の法の各部門が相異なる法系に分類されることもあれば,ある国の法が時代によって別個の法系に属することもある。英米法系 (イギリス法系) と大陸法系 (ローマ法系) は今日の国際社会の基本的法系とされるが,分類上からも他に若干の法系が存在している。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうけい【法系 legal systems】

同族的法秩序から構成されるグループをいう。現在世界にはきわめて多数の法秩序があり,それら相互間には無数の異同がある。しかし共通な法様式を形成する要素に注目し,かつ,非本質的な相違を度外視して分類すれば,数個の母法秩序Mutterrechtsordnungおよびそれぞれの娘法秩序Tochterrechtsordnungから成る諸グループが得られる。これらが法系であり,法圏とか法族ともいわれる。法系の分類は19世紀以来試みられてきたが,当初は進化論の影響下に〈人種〉を基準にした分類が一般的であった。

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大辞林 第三版の解説

ほうけい【法系】

法の系統。法の継受などによる法制度の同族性により大別される。英米法系・大陸法系など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法系
ほうけい

甲国から乙国に法が継受された場合、両国の間に「法系」の関係があるといい、甲国を母法国、乙国を子法国という。古代ローマ法を継受したヨーロッパ大陸法はローマ法系に属し、近代以後この大陸法を継受した日本やトルコはローマ法系ないし大陸法系に属する。大陸法系はさらにドイツ法系、フランス法系などに分かれる。ロシア法も概して大陸法系に属していたが、ロシア革命によって新たな法性格が加わり、ソビエト法を継受した諸国によって、社会主義法系という新たな法系が生じた。イギリス法は元来ゲルマン法系に属するが、独自の発展を示し、アメリカや旧植民地などに継受されてコモン・ロー法系(英米法系)を形成している。イスラム圏はイスラム法系を形成している。インドや中国は独自の法体制をもっていたが、近代においては西洋諸国の法系の支配を受けつつある。日本は律令(りつりょう)制の導入によって中国法系を受け入れ、土着性と中国性の対立と妥協の歴史をたどったが、明治以後は大陸法系に属し、第二次世界大戦後は英米法系の部分的影響をも受けている。[長尾龍一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ほう‐けい【法系】

〘名〙
[一] (ハフ:) 異国家間または異民族間に、継受によって形成される法の系統。英米法系、大陸法系、ドイツ法系など。〔現代語解説(1924‐25)〕
[二] (ホフ:) 仏教で各宗派の系統。
※空華日用工夫略集‐康暦二年(1380)四月三日「法系瓜葛之義、於是乎在矣」

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