法諺(読み)ほうげん(英語表記)legal maxim

日本大百科全書(ニッポニカ)「法諺」の解説

法諺
ほうげん
legal maxim

法原則を(ことわざ)の形で言い表したもの。法格言ともいう。「法は善と衡平(こうへい)の術なり」Ius est ars boni et aequi.(ラテン語。以下同)のような抽象的なものから、「合意は拘束する」Pacta sunt servanda.、「悪法も法なり」Dura lex, sed lex.、「後法は前法を廃す」Lex posterior derogat priori.のような法の一般原則を述べるもの、「疑わしきは被告人の利益に」In dubio pro reo.、「沈黙する者は同意するものとみなされる」Qui tacet, consentire videtur.など各法領域に関する原則などがある。「従物は、主物の処分に従う」(民法87条)など、法格言がそのまま条文となる場合もあるが、法格言だからといってつねに正しいとは限らない。

[長尾龍一]

『柴田光蔵著『法格言ア・ラ・カルト――活ける法学入門』(1986・日本評論社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「法諺」の解説

法諺
ほうげん
Rechtssprichwort; legal maxim

法に関する諺。法格言ともいう。「なんぴとも同一犯罪につき再度罰せられることなし」「後法は前法を廃す」「場所は行為を支配する」などがその例で,法の一般原則を簡単に言い表わしたものが多い。ローマ法および多くの法系にそれぞれ固有の法諺がみられる。これと似たものに「良き法律家は悪しき隣人」「代表なければ課税なし」といった法俗諺がある。

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精選版 日本国語大辞典「法諺」の解説

ほう‐げん ハフ‥【法諺】

〘名〙 法の性質運用に関する格言、諺。
※法窓夜話(1916)〈穂積陳重〉一〇〇「法律に関する諺の中に、主として専門家中に行はれる『法諺』〈略〉と称するものと、法律に関する純粋なる俚諺との二種があるが」

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百科事典マイペディア「法諺」の解説

法諺【ほうげん】

法に関する格言,諺(ことわざ)。法の一般原則を簡潔に言い表したものが多い。〈売買賃貸借を破る〉〈法律なければ刑罰なし〉など。

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デジタル大辞泉「法諺」の解説

ほう‐げん〔ハフ‐〕【法×諺】

法の性質や運用に関することわざ。「悪法も法なり」「疑わしきは罰せず」など。

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世界大百科事典 第2版「法諺」の解説

ほうげん【法諺 legal maxim】

法に関する格言およびことわざ。ローマ法以来,各時代の各法社会において多くの法諺が生み出され,語り継がれてきている。その内容は多種多様であり,(1)具体的・特殊的な法準則を定式化するもの,(2)抽象的・一般的な法原則を表明するもの,(3)法一般や法的諸価値についての哲学的思想を述べるもの,(4)法的諸概念を定義したり,法解釈の方法を示すもの,(5)法源を示したり,法衝突の解消基準を示すもの,などがある(この分類は厳密な基準によるものではなく,網羅的でもない)。

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