洗濯せっけん(読み)せんたくせっけん(英語表記)laundry soap

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

洗濯せっけん
せんたくせっけん
laundry soap

衣料などの洗濯に使用するせっけん。せっけんは、もっとも古くから用いられた界面活性剤の一種で、紀元前2500年ごろのメソポタミアで使用されていた。工業的に化学合成された界面活性剤と区別されることがある。せっけんのベースは動植物油脂から採取した脂肪酸のアルカリ金属塩で、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のナトリウム塩が主成分である。おもに、動物油脂としては牛脂、植物油脂としてはやし油、パーム油、パーム核油が用いられ、通常それらを混合して使用する。製品には、粉せっけん(粉末状・粒状)と固形せっけんがある。日本では家庭で衣類を洗濯するのに、たらいに水を入れ、洗濯板の上で衣類を繰り返しもみ洗いする習慣があった。それには固形の洗濯せっけんが用いられた。昭和30年代に電気洗濯機が急速に普及すると、手洗いの習慣は衰退して、固形洗濯せっけんは粉洗濯せっけんに置き換えられた。洗濯せっけんは洗浄促進剤(ビルダー)として炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムが添加されているが、無添加のものもある。固形洗濯せっけんは通常ケイ酸ナトリウムが、粉洗濯せっけんはおもに炭酸ナトリウムと少量のケイ酸ナトリウムが配合されている。

 外国で製造されたものには一部に漂白剤として過ホウ酸ナトリウムや蛍光増白剤を配合したものもあるが、日本のものには通常それらの配合はされていない。せっけんは軟水では洗浄力が優れているが、硬水ではせっけんかす(脂肪酸のカルシウム塩)を生じやすく、また完全なすすぎが困難で残せっけんによる衣服の黄変や異臭を起こす欠点がある。そのため、より優れた合成洗剤であるABS洗剤が1960年(昭和35)ごろより普及し、洗濯せっけんの需要は急速に減少した。その後ABS洗剤は、河川の発泡などの問題のため環境への影響を改良した同じ合成洗剤のLAS(ラス)洗剤などソフト洗剤(生分解性洗剤)にかえられたが、一部の消費者の強い支持により洗濯せっけんは今でもわずかだが(全洗濯用洗剤中3%程度)、シェアを保っている。

[永山升三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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