出席停止(読み)シュッセキテイシ

デジタル大辞泉 「出席停止」の意味・読み・例文・類語

しゅっせき‐ていし【出席停止】

授業会議出席をさし止めること。
地方議会議員に対する懲罰の一。議会への出席を一定期間停止するもの。→登院停止

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精選版 日本国語大辞典 「出席停止」の意味・読み・例文・類語

しゅっせき‐ていし【出席停止】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 出席を停止すること。
    1. [初出の実例]「議長を罰するに一週日の出席停止を以てしたり」(出典:東京日日新聞‐明治二六年(1893)一二月一三日)
  3. 衆参両院議員の懲罰の一つ。議院の会議や委員会への出席を一定期間停止すること。その期間は原則として三〇日以内とされている。登院停止。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出席停止」の意味・わかりやすい解説

出席停止
しゅっせきていし

学齢児童・生徒に対して学校への出席を停止すること。出席停止を行うのは、性行不良であって他の児童・生徒の教育に妨げがある場合(学校教育法35条)と、感染症による場合(学校保健安全法19条)である。1960年代に入って、対教師暴力など、中学生による校内暴力事件の続発に伴い、従来あまり例のなかった性行不良による出席停止が改めて注目を集めるようになった。

 性行不良による出席停止は、懲戒の意味ではなく、学校の秩序を維持し、ほかの児童・生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から、市町村教育委員会がその保護者に命じる。出席停止の措置がとられるのは、対教師暴力のほか、生徒間暴力、器物損壊、授業妨害などの行為を繰り返し、ほかの児童・生徒の教育に妨げがあると認められる場合である。学校としては、出席停止によって児童・生徒を学校から締め出すのではなく、家庭と協力して学習の支援その他の教育上必要な措置を講ずるなど、本人の立ち直りを促す配慮がたいせつである。

 出席停止の件数は、文部省(現文部科学省)が出席停止措置の通達を発した1983年(昭和58)当初は200件を超えたが、その後急減し、1990年代に入って40~50件台前後にとどまった。出席停止の理由としては、暴力行為(対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力、器物破損)が圧倒的に多い。1995年(平成7)からはいじめの加害者も出席停止の対象に加えられたが、その実数はきわめて少ない。なお、学級崩壊などに対する厳しい対応を求めた文部省方針を背景に、1999年度の出席停止を受けた小・中学生の延べ人数は84人に上り、前年度の1.5倍に達し、2001年6月には出席停止の要件・手続きなどが学校教育法等に加筆、明文化された。その後は2002年度37人、2003年度25人と減少傾向にあったが、2005年以降はふたたび増加し、40~60人で推移している。

 感染症による場合の出席停止は、感染症が他の児童生徒に蔓延(まんえん)することを抑えるための緊急避難的な措置であり、「校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」(学校保健安全法19条)と規定されている。感染症による出席停止は、校長が行うとされているため、義務教育諸学校に限定されない。

[下村哲夫・窪田眞二]

『坂本秀夫著『生徒懲戒の研究』(1982・学陽書房)』『下村哲夫著『新・生徒指導の法律学――教師・生徒・親の権利関係』(1993・学習研究社)』『河上亮一著『学校崩壊――現場からの報告』(2001・草思社)』『窪田眞二・小川友次著『教育法規便覧』平成22年版(2009・学陽書房)』

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知恵蔵mini 「出席停止」の解説

出席停止

いじめや教職員への暴力、器物破損、授業妨害などの問題行動を起こす児童生徒の出席を停止する、学校教育法で規定された行政措置。公立小中学校において、学校が最大限指導を行っても問題行動を繰り返し、他の子どもの教育の妨げになると認められた児童生徒に対し、教育委員会は保護者に出席停止を命じることができると定められている。2001年の学校教育法改正により適用条件が明文化され、出席停止期間中の児童生徒へ学習支援を行うことも規定されたが、対象となる子どもの教育を受ける権利が阻害される懸念もあるとして、これまで教育現場では慎重に運用されてきた。そのため、近年はいじめへの抑止効果が期待されつつも、いじめを理由とした出席停止は2010年度までの4年間で全国11件にとどまっている。しかし、全国的にいじめによる自殺が相次いでいることを受け、今後は全国で適用例が増える可能性も示唆されている。

(2012-09-9)

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