改訂新版 世界大百科事典 「浦項」の意味・わかりやすい解説
浦項 (ほこう)
P`ohang
韓国,慶尚北道東部の迎日湾に面した都市。人口51万5714(2000)。兄山江が形成したデルタに位置し,日本海(東海)漁業の基地浦項港を中心に商業都市として発達し,1949年市に昇格した。朴正熙政権のもとで70年に浦項総合製鉄所(ポスコと改称)の建設が着手されて以来,韓国の製鉄基地として市の面貌を一新した。同製鉄所は73年に103万t規模の第1期工事を完成したのち数回の拡張工事を重ね,81年には年産850万t規模の国際的大工場となった。90年代に入り新日本製鉄を抜き,銑鉄生産量では世界第1位となった。同製鉄所の建設にあたっては日本から借款や技術が提供され,日本の韓国に対する経済協力の代表例となっている。人口は1970年の7万9000人が75年までにほぼ倍増したが,浦項製鉄の従業員だけで1万5000人に達し,関連産業を含めると市の経済は同社一つに依存するようになった。兄山江は土砂流出量が多く,河口に砂州を広く形成しており,その一つ松島は海水浴場として有名である。
執筆者:谷浦 孝雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報