デジタル大辞泉
「浮べる」の意味・読み・例文・類語
うか・べる【浮(か)べる/×泛かべる】
[動バ下一][文]うか・ぶ[バ下二]
1 浮かぶようにする。浮かばせる。「船を水に―・べる」⇔沈める。
2 外面に表す。表面に表し出す。「喜色を満面に―・べる」「涙を―・べる」
3 思い起こす。意識に上らせる。「記憶に―・べる」「念頭に―・べる」
4 暗記する。
「古今の歌二十巻をみな―・べさせ給ふを御学問にはせさせ給へ」〈枕・二三〉
5 苦境から救う。世に出してやる。浮かばせる。
「沈める輩をこそ多く―・べ給ひしか」〈源・明石〉
6 十分に心得る。熟知する。
「傍に居たる禅門、―・べたる体をなし」〈咄・醒睡笑・三〉
[類語]浮かぶ・浮かび上がる・浮く・浮き上がる・浮揚する・浮上する
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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うか・べる【浮・泛】
- 〘 他動詞 バ下一段活用 〙
[ 文語形 ]うか・ぶ 〘 他動詞 バ下二段活用 〙 ⇔沈める。 - ① ものを、水面や空中に浮かぶようにする。浮かばせる。また、比喩的に、ふわふわと落ち着かない状態にする。
- [初出の実例]「春柳かづらに折りし梅の花誰か有可倍(ウカベ)しさかづきの上(へ)に」(出典:万葉集(8C後)五・八四〇)
- ② 物事を表面に表わす。
- (イ) 外面に表わす。「えみを浮かべる」
- [初出の実例]「ただ大ならむ鏡を仏の前にかけて影をうつしてをがみ給へ〈略〉影を浮ふるは法身なり」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
- 「人々目をすまし哀をうかべたるに」(出典:十訓抄(1252)七)
- (ロ) 意識にのぼせる。思い起こす。思いつく。
- [初出の実例]「今、眼の前に露子の姿を浮べて見ると」(出典:琴のそら音(1905)〈夏目漱石〉)
- ③ 暗記する。暗唱する。
- [初出の実例]「千字文習はし奉り給しかば、やがて一日に聞きうかべ給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
- ④ 十分に知る。熟知する。また、芸事などに熟達する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑤ 良い状況にさせる。
- (イ) 苦しい境遇から助け出す。また、立身出世させる。浮かばせる。
- [初出の実例]「きみをだにうかべてしがななみだがはしづむなかにもふちせありやと」(出典:元真集(966頃か))
- (ロ) 死者の霊が迷いから抜け出て安らかになるようにする。成仏させる。浮かばせる。
- (ハ) 迷っている人を救う。救済する。済度する。
- [初出の実例]「かくばかりそこゐもしらぬ我やみに沈ん人を浮へてしかな」(出典:発心和歌集(1012))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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