浮上る(読み)ウキアガル

デジタル大辞泉 「浮上る」の意味・読み・例文・類語

うき‐あが・る【浮(き)上(が)る】

[動ラ五(四)]
水中から水面に現れ出る。「難破船が―・る」
空中に持ち上がる。今までついていた地面などとの間にすきまができる。「気球が―・る」「地震土台が―・る」
周囲から遊離して形・輪郭などがはっきりと現れる。きわだつ。「富士山青空に―・って見える」
隠れていた物事が表に現れる。うかびあがる。
「突然妙な事が己の記憶から―・った」〈鴎外青年
苦しい状態から抜け出る。うかびあがる。「下積みから―・る」
集団の中で周りの者の理解が得られず孤立する。「幹部の考えは一般組合員から―・っている」
気持ちがうわつく。軽はずみになる。
軽部の心をそのとき―・らせてしまったのに違いないのだ」〈横光機械
[類語]浮く浮かぶ浮かび上がる浮かべる浮揚する浮上する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浮上る」の意味・読み・例文・類語

うき‐あが・る【浮上】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 人や物が、底の方から液体の表面に出てくる。浮かび上がる。
    1. [初出の実例]「入海してける程に、宗盛は水練をする者にて、うきあがりうきあがりして」(出典:愚管抄(1220)五)
  3. 隠れていたものごとが表に現われる。浮かび上がる。
    1. [初出の実例]「まともに、照らす灯影(ほかげ)を浴びたる時でなくては、男とも女とも声は掛けられぬ。〈略〉が、輪廓は少しく浮き上がる」(出典草枕(1906)〈夏目漱石〉七)
    2. 「突然妙な事が己の記憶から浮き上がった」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉一〇)
  4. 下地や地面などから離れて上に持ち上がる。
    1. [初出の実例]「心ちのいみじくおぼさるれば、うち臥し給へるも、ただうきあがるやうにおぼえつつ」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)二)
    2. 「枕の下へ手を入れて彼女の頭を浮き上らせると」(出典:御身(1921)〈横光利一〉五)
  5. 苦しい状態から抜け出る。運が開ける。浮かび上がる。
    1. [初出の実例]「世のなかが景気づいて来たにつれて、お島たちは自分たちの浮揚るのは、何の造作もなささうに思へてゐた」(出典:あらくれ(1915)〈徳田秋声〉九二)
  6. 気持がふわつく。うきうきする。
    1. [初出の実例]「その日のことを考へると竹の心は軽々と浮き上った」(出典:山の鍛冶屋(1926)〈宮嶋資夫〉三)
  7. ある集団の中で、まわりの者との接触が薄れる。遊離する。周囲となじまず孤立する。
    1. [初出の実例]「さうなると機関はまた大衆から浮き上った街頭分子だけといふ事になる」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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