大化前代の品部の一つ。海部とも書く。海産物などを貢納する義務を負った。『日本書紀』応神(おうじん)天皇5年に海人部と山守部を定めたとあるが確かでない。北九州、瀬戸内、東海、北陸など全国的に広く分布するが、各地で海(部)直(あたい)などの伴造(とものみやつこ)に統率された。しかも、海(部)直はそれぞれに出自、系統を異にするものが少なくないから、海人部は全国的規模でまとめて支配されたものではないらしい。ただし、比較的有力な中央の伴造は阿曇(あずみ)氏であった。なお、海人部は海浜に住む者も多いが、河川をさかのぼって内陸に定着する者も少なくなかったことは、山間部における海部郷などの古代地名の分布からも知られる。かかる海人部は早くから農耕民へと変身していったらしい。
[黛 弘道]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…大化前代に漁業と航海技術によって奉仕した部。海人部とも記す。《日本書紀》によれば,応神天皇3年諸国の海人の騒ぎを鎮めた大浜宿禰(すくね)(阿曇氏の祖)を海人の統率者とし,同5年海部を定めた,という。…
※「海人部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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