海人部(読み)あまべ

精選版 日本国語大辞典 「海人部」の意味・読み・例文・類語

あま‐べ【海人部】

  1. 〘 名詞 〙 大化前代、阿曇連(あずみのむらじ)(=海人の長)の領有支配をうけて、海産物大和政権に貢納した集団淡路阿波吉備紀伊などに分布。応神天皇五年八月に、山守部と共に定めた(日本書紀)。あま
    1. [初出の実例]「此の御世に、海部(あまべ)山部、山守部、伊勢部を定め賜ひき」(出典古事記(712)中)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海人部」の意味・わかりやすい解説

海人部
あまべ

大化前代の品部の一つ。海部とも書く。海産物などを貢納する義務を負った。『日本書紀』応神(おうじん)天皇5年に海人部と山守部を定めたとあるが確かでない。北九州瀬戸内、東海、北陸など全国的に広く分布するが、各地で海(部)直(あたい)などの伴造(とものみやつこ)に統率された。しかも、海(部)直はそれぞれに出自系統を異にするものが少なくないから、海人部は全国的規模でまとめて支配されたものではないらしい。ただし、比較的有力な中央の伴造は阿曇(あずみ)氏であった。なお、海人部は海浜に住む者も多いが、河川をさかのぼって内陸に定着する者も少なくなかったことは、山間部における海部郷などの古代地名の分布からも知られる。かかる海人部は早くから農耕民へと変身していったらしい。

[黛 弘道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海人部」の意味・わかりやすい解説

海人部
あまべ

大化以前の民。海浜に住み,漁業に従事し,水産物を貢上した。中央の阿曇 (あずみ) 連が各地のその首長を統率した。

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世界大百科事典(旧版)内の海人部の言及

【海部】より

…大化前代に漁業と航海技術によって奉仕した部。海人部とも記す。《日本書紀》によれば,応神天皇3年諸国の海人の騒ぎを鎮めた大浜宿禰(すくね)(阿曇氏の祖)を海人の統率者とし,同5年海部を定めた,という。…

※「海人部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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