神奈川県のほぼ中央部にある市。1971年(昭和46)市制施行。小田急電鉄小田原線、相模(さがみ)鉄道、JR相模線、国道246号(もと矢倉沢(やぐらさわ)往還)が通じ、東名高速道路の海老名サービスエリアがある。西は相模川を隔てて厚木(あつぎ)市に対し、市域は相模原台地西部と、相模川沖積低地にわたり、北東部から目久尻(めくじり)川(相模川支流)が流れる。台地の西端地区には秋葉山古墳群(4~5世紀の大型4基、国指定史跡)があり、相模国の初期の国府の地でもある。海老名駅東方台地上の相模国分寺跡(国指定史跡)は、塔、金堂、講堂などの土壇に巨大な礎石が整然として残り、法隆寺式の伽藍(がらん)配置で、全国的にみても大規模であったと推定される。郷土資料館の「海老名市温故館」にその復元模型が展示されている。国分寺跡の北方にある国分尼寺跡も国指定史跡。近くの現国分寺の銅鐘(正応(しょうおう)5年の銘あり)は国指定重要文化財。大ケヤキは県指定天然記念物。近くの竜峰寺(りゅうほうじ)の千手(せんじゅ)観音立像は国指定重要文化財。そのほか、古代の地方都市の施設跡(市場、集会場など)もあり、相模川低地には条里型水田遺構が広く残る。古くから海老名耕地の名で知られる水田農業は、近年施設園芸に変わり、イチゴ、トマト、花卉(かき)などが特産。内陸型大工場の進出も多く、1990年(平成2)には本郷に工業団地が完成した。京浜通勤者向けの住宅団地の開発も進み、京浜の衛星都市化が著しい。1992年、海老名中央公園に市のシンボルとして国分寺のそれを縮小再現した七重塔がつくられた。面積26.59平方キロメートル、人口13万6516(2020)。
[浅香幸雄]
『『海老名市史』全10巻11冊(1994~ ・海老名市)』
神奈川県中央部の市。1971年市制。人口12万7707(2010)。県央を南下する相模川中流部の東岸にあり,相模川に臨む沖積地は水田に,相模横山と呼ばれる相模原台地の西縁は畑地に利用されていた。横浜からの相模鉄道線が1926年に,東京新宿からの小田急線が27年に開通し,茅ヶ崎からのJR相模線も市内を通過することから,住宅地化が進んだ。近年駅周辺の開発が進み,市街地化が著しい。台地上は古く相模国の国府が置かれたところといわれ,相模国分寺跡には七重塔,金堂,講堂跡などの礎石が残り,法隆寺式の配置を示し,国指定の史跡となっている。農家では温室栽培が盛んで,トマト,イチゴ,花卉類が作られている。東名高速道路のインターチェンジもある。
執筆者:伊倉 退蔵
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