海道(読み)カイドウ

デジタル大辞泉 「海道」の意味・読み・例文・類語

かい‐どう〔‐ダウ〕【海道】

海上の、船が通る道。ふなじ。海路航路
海沿いに通じる道。海辺道路
特に、東海道をいう。「海道一の大親分」
主要な道路。街道
「どうど踏んだる―も武勇の道も一筋に」〈浄・嫗山姥

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精選版 日本国語大辞典 「海道」の意味・読み・例文・類語

かい‐どう‥ダウ【海道】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 海上の航路。海路。船路(ふなじ)。〔色葉字類抄(1177‐81)〕〔新唐書‐盧鈞伝〕
    2. 海沿いの道。海沿いの諸地方に通ずる道。また、その道に沿った地域。
      1. [初出の実例]「陸奥国言。海道蝦夷反。殺大掾従六位上佐伯宿禰児屋麻呂」(出典:続日本紀‐神亀元年(724)三月甲申)
    3. かいどう(街道)
      1. [初出の実例]「そなたとわらはと中なをりをして、海道へ出でて、あふたらはとめうとぞんずるが」(出典:虎明本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 特に、東海道をいう。
    1. [初出の実例]「海道宿々の遊君遊女ども」(出典:平家物語(13C前)五)

海道の語誌

( 1 )古くは[ 一 ]を表わすには「海路」が多く使われ、「海道」は主としての意だった。中世以降、鎌倉━京都の往還が最重要路線となったため、「海道」といえば東海道を指すようになったが、次第に固有名詞という意識が薄くなり、人通りの多い〈主要道〉という一般名詞[ 一 ]が確立した。
( 2 )これに基づいて「日光海道」「甲州海道」などの名付けが行なわれたが、これらが海から遠いため、今度は「海」字が不適当と意識されるようになり、「街道」と書かれるようになった。


うみ‐つ‐みち【海道】

  1. ( 海に沿った道の意から ) 東海道(街道および沿道地域)の古称。うめつみち。うべつみち。うみつじ。
    1. [初出の実例]「東海道 宇美津美知(ウミツミチ)」(出典:水戸本丙日本紀私記(1678)崇神)

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普及版 字通 「海道」の読み・字形・画数・意味

【海道】かいどう(だう)

航路。〔晋書、翼伝〕時に東土に賦役多し。百姓乃ちより廣州に入る。刺嶽、大いに鼓鑄(こちう)(鋳造法)を開く。夷此れに因りて、兵ることを知る。

字通「海」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「海道」の意味・わかりやすい解説

海道 (かいどう)

早歌(そうが)(宴曲)の曲名。道行物の代表作。明空(みようくう)の作詞,作曲によるといわれる。1301年(正安3)以前に成立の《宴曲集》巻四に所収。譜本は東大史料編纂所,尊経閣文庫などに所蔵される。また新間進一蔵の《別紙追加曲》の巻末にも転載されている。海道上,中,下の3編から成る組曲。京から鎌倉に至る道中を描写したもので,海道上は逢坂から二村(ふたむら)山,中は参川(三河)から藤枝,下は宇津の山から鶴岡まで,全体で83の地名が歌いこまれている。これは,《海道記》の92には及ばないが,《東関紀行》の69,《十六夜日記》の53を超えるものである。〈行々たる露の駅(むまや)に〉という朗詠風の文体ではじまるが,全体としては七五調韻文が中心となっている。中の冒頭〈唐衣着つゝ馴れにし,来つゝ馴れにし〉が延曲(無拍子)のほかは,四拍子から成る只地(ただじ)を基礎として,リズミカルに歌われた。
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知恵蔵 「海道」の解説

海道

「マリンロード」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の海道の言及

【街道】より

…主要幹線道路の意。海道とも書く。
[古代・中世]
 古くは地域ごとにおもに情報の伝達,兵員およびその食料の輸送,貢納物の移送といった軍事的・政治的な目的で政治権力によって形成されたとみられ,それらは律令国家の形成にともなって都城や国府を中心として統一的に体系化された。…

【浜通り】より

…福島県を地勢をもとに東から浜通り,中通り,会津地方の3地域に分けた場合の地域名の一つで,古くから関東から東北地方への通路である浜街道が通っており,その街道の通過する周辺地域としてこの名称が用いられる。浜海道,東(ひがし)海道,海道とも称した。現在,交通路としては国道6号線とJR常磐線が通じている。…

※「海道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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