近世日本の色高(雑税)の一種で,海石(うみこく),海上石ともいう。江戸初期,海川付けの村が海川で行う漁猟採藻の収獲高を見積り,それを田畑同様村高に結んだもの。毎年一定の貢租が徴収された。貢租は検地帳に記し本高同様に納める場合と,検地帳に記載せず村高と別に掲げ納める場合とがあった。もっとも,海川付けの村でも海高を有する村は数が少ない。海高は徳川氏の関東入部以後の設定になり,漁業権の確立を内包する近世漁村の成立過程で誕生した。漁業権の確立はまた,戦時の兵員・米輸送,領主御用など渡海渡川時に徴用される水主(水手)役(かこやく)の負担の有無と関係が深い。水主役が本年貢に結びつけられ,夫役人徴発を根底にもつ軍役調達への即応形態として置かれたものであることを考えると,海高もそれにつながると思われる。江戸中期に役永(やくえい)・運上のみを徴収することで海川を高に結ぶことが停止されたが,それは〈都(すべ)て動ある物は高に結ぶ事なし〉という原則の採用と,体制の安定化によって軍役発動の可能性が希薄化したことと関係しよう。
→高
執筆者:田島 佳也
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