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一般には梶取,船頭などの上級船員に対して,その配下の下級船員を指すことが多いが,古くは船員の総称として用いられることもあった。〈水主〉とも書く。律令制下で国家貢納物の輸送には,海人・漁民などを徭役あるいは雇用して水手とした。しかし梶取と異なって,特別の技術を要しない単純労働であるから,梶取に比すれば代償は少なかった。荘園年貢の輸送には臨海荘園の場合,一般領民が夫役として水手になることが多く,また備中国新見荘のような内陸荘園では,領民に水手役として米などを代納させ,それをもって港湾で水手を雇うのが例であった。当時の水手1人当りの輸送量はまちまちだが,鎌倉時代の高野山領紀伊国南部荘では20石前後である。江戸時代に入ると,〈加子〉と書く場合が多くなるが,幕府・諸藩は回米等の輸送に当たって,漁民に夫役として加子役を賦課し,漁民はその反対給付として漁業権を与えられた。
執筆者:新城 常三
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