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消費者教育 しょうひしゃきょういくconsumer education

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

消費者教育
しょうひしゃきょういく
consumer education

社会で生活する者が,消費者として有している義務と権利を教えること。最近ではクレジットカード類の普及によって,手元に現金がなくても自由に商品を購入することができることから,カード破産が頻発し,社会問題となった。そこで,学校教育における早期消費者教育の重要性が指摘され,1992年度から小学校6年生の家庭科で,通信販売やクレジットカードなどに関する教育が行われている。 93年度から中学校,94年度から高等学校にも導入。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵の解説

消費者教育

消費者としての自覚を促し、消費者被害を防ぐための情報提供、教育。2005年4月から5年間を対象とした消費者基本法に基づく国の消費者基本計画では、学校や社会教育施設での消費者教育の推進を重点項目にしている。教科書出版各社は中学教科書に消費者問題の記述を増やしている。トラブル事例としてインターネットショッピングや携帯電話からの架空請求、消費者金融の借金の利息、牛海綿状脳症(BSE)や残留農薬トレーサビリティーなど。また、金融広報中央委員会は05年度を金融教育元年と位置付け、金融教育フェスティバルを開催したり、金融教育公開授業を行うなどした。

(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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世界大百科事典 第2版の解説

しょうひしゃきょういく【消費者教育】

産業構造審議会(通産大臣諮問機関)の消費経済部会は,1965年12月の答申で〈消費者教育の意義は自主性をもった賢い消費者を育成すること〉であり,それにより〈商品・サービスの合理的選択・使用の効用の極大化を助長し,消費生活を向上させることにある〉としている。現代社会では売手(企業)と買手(消費者)の対等性が失われている。消費者は弱者の立場におかれ,売手に拮抗しうるに十分な情報・知識をもたず,購入にあたって正しい自主的判断を下す力を失いがちである。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

消費者教育
しょうひしゃきょういく

一般消費者に、商品やサービスについて合理的な価値判断を下し、個人の消費生活を向上させるとともに、経済社会における消費の意義と消費者の役割とを自覚させるための教育をいう。より広義には、そうした経済的利益の追求を手掛りに、消費者の生活防衛および意識の向上を図るだけでなく、市場における消費者の主体性の保全や拡大、さらには消費者の積極的な参加による経済社会の健全な発展をも目ざすものである。[今井光映]

消費者教育の概念

1962年、アメリカの大統領ケネディは「安全を求める権利」「知らされる権利」「選ぶ権利」「意見を反映させる権利」という四つの消費者の権利を宣言したが、さらに大統領フォードは、1975年に「消費者教育を受ける権利」を消費者の第五の権利とし、これなくしてほかの四つの権利は十分に満たされない、とした。このことは、産業技術の高度化、販売形態の多様化に伴って出現した多種多様な商品やサービスを、消費者がいかに上手に選択して使いこなすかが、合理的で豊かな消費生活を営むうえできわめて大きな課題となったことと対応している。
 日本の消費者教育は、1960年代に入ってからようやく盛んになったが、最初は「お買い物じょうず」という意味での「賢い消費者づくり」を目ざす「生活環境適応的」なものであった。しかし経済の拡大、産業構造の複雑化とともに、消費者教育も構造的に起こってくる消費者問題の時代に入り、提供される商品やサービスが消費者の安全や健康など、生活の基本的な価値や質を侵すものであれば(危険商品や悪質商法など)、それらを排除し、改善していくという「生活環境醸成的」なものに発展してきた。
 アメリカの消費者教育は1980年代に入ると、市民参加の能力の開発を指向するようになった。またその教育の具体的方法についての関心と研究は、消費者教育とはなにかという哲学の確立や概念の枠組みにまで深まってきた。「大統領の消費者利益に関する特別委員会」(1969)は、消費者教育を「各人が価値をそれぞれ選択し、枠組みするなかで極大の満足を得られるように、日常生活における技術と概念と理解を修得すること」としているが、この概念規定は各種の消費者教育の定義の下敷きになっている。[今井光映]

消費者教育の内容

前述の概念規定から、消費者教育を次のようにとらえることができる。すなわち、(1)商品やサービスの購入は、それが自己の人生・生活にどのような意味をもつかという「価値」に基づき、(2)必要な「情報」を「批判的思考」と「トレード・オフ(比較考量)」の方法によって取り入れ、(3)個人的にも社会的にも責任のもてる「意思決定」をする、このような一連の過程能力を養うということ、これが消費者教育である。そして、ここでいう「価値」「情報」「批判的思考」「トレード・オフ」「意思決定」は、消費者教育を考えるうえでの五つのキーワードとなるのである。ここから、一般的に考えられているように、知識としての消費者情報そのものは、行動アセスメント(評価)としての消費者教育ではない、ということが認識される。このような消費者教育の本質に沿うように、アメリカやヨーロッパにおいては、知識を投入する講義方式よりも、悪質商法などについての疑似体験を盛り込んだケース・ストーリー方式、ロール・プレイング(役割演技)方式などの教育手法が開発されてきた。[今井光映]

日本における消費者教育の新しい展開

1990年(平成2)に経済企画庁(現、内閣府)と文部省(現、文部科学省)の共管で、財団法人消費者教育支援センターが設けられ、行政・消費者・企業そして学校の4者の協力によって、とくに学校教育のなかに前述した消費者教育方式を取り入れるなど、組織的に消費者教育が行われるようになった。学校教育においては「総合的な学習」を行うことで生まれる「生きる力」が重視されるようになった。生涯学習社会、規制緩和社会、IT(情報技術)革命社会が到来し、さらに製造物責任法(PL法、1995年施行)、消費者契約法(2001年施行)、消費者基本法(2004年施行)の制定、消費者庁の発足(2009)、そして消費者教育推進会議の設置(2011)と、消費者意識社会の時代へ進むなかで、2011年(平成23)に文部科学省「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」が発表されたことの意義は大きい。
 消費者教育は、食育、悪徳商法対策啓発、高齢者消費生活問題啓発など、生涯教育としての生活設計教育の重要な担い手となっている。消費生活において、人間としての消費者が個人としての倫理的・社会的・経済的・生態的な考慮のもとに、家族・国民・市民・世界人として責任ある意思決定行動をし、「消費者市民社会」を形成する担い手として、消費者教育は意義づけられてきている。『平成20年版 国民生活白書』以来、とくに「消費者市民教育」ということがうたわれてきて、その担い手として消費者教育の意識がいっそう自覚されてきている。[今井光映]
『今井光映・中原秀樹編著『消費者教育論』(1994・有斐閣) ▽『平成20年版 国民生活白書――消費者市民社会への展望』(2008・内閣府) ▽日本消費者教育学会編・刊『日本消費者教育学会三十年の歩み』(2011)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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