蔀戸(読み)シトミド

デジタル大辞泉 「蔀戸」の意味・読み・例文・類語

しとみ‐ど【×蔀戸】

1」に同じ。
4」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「蔀戸」の意味・読み・例文・類語

しとみ‐ど【蔀戸】

〘名〙
※広隆寺文書‐(仁和三年)(887)広隆寺資財交替実録帳「今挍戸五具〈一具蔀戸、一具无実〉」
[補注]歌謡の「松の葉‐二」に「しとみ戸」を「ひとみ戸」と訛った例がみえる。

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改訂新版 世界大百科事典 「蔀戸」の意味・わかりやすい解説

蔀戸 (しとみど)

寝殿造住宅の外まわりの主要建具。〈蔀〉の語義は〈ひよけ〉〈おおい〉であり,《和名抄》でも〈暖をおおい,光をさえぎるもの〉としている。現在では格子に板を張ったもの,あるいは板を表裏から格子ではさんだものを蔀と呼んでいるが,古くはこれを〈格子〉と呼び,格子を組まず板だけのものを蔀と呼んで区別していたようである。たとえば平安末期の平清盛の六波羅泉殿寝殿では南面を格子とし,北面には蔀を使用していた。柱間全部を1枚の蔀とする場合もあるが,重すぎて開閉が困難なので,上下2枚に分けて〈半蔀(はじとみ)〉とするのが普通だった。これは上半分(上蔀)を長押から釣り下げ,あける時ははねあげて先端垂木から下げられた金具にかけ,下半分(下蔀)は柱に打ちつけられた寄(よせ)に掛金でとめておき,あるいは取りはずして柱間全部をあけはなつこともできた。普通は上蔀が大きく下蔀は小さい。なお庭や縁側などに固定し,目隠しなどに使用したものを〈立蔀(たてじとみ)〉という。寝殿造の外周建具は〈妻戸(つまど)〉(扉)を除いて大半は蔀戸であった。これは神社仏堂にも普及するが,中世以後の住宅では〈遣戸(やりど)〉と呼ばれる引違い戸が多く用いられるようになり,近世に入ると蔀は社寺建築以外にはあまり使われなくなった。なお民家の前の戸で釣上げ式のものを〈しとみ〉〈しとめ〉〈ひとみ〉などと呼ぶ。また,城郭建築で,見通しを防ぎ,敵の行動をさまたげるため出入口の内方に設けた施設(土居,塀など)も蔀と呼ばれた。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「蔀戸」の解説

しとみど【蔀戸】

板戸の一種。寝殿造りの開口部に使われた建具で、のちに神社や仏堂にも取り入れられた。2枚の格子(こうし)の間に板を挟むか、格子の裏に板を打ったもの。上下2枚に分かれており、上半分を鴨居(かもい)から吊り下げ、下半分は敷居(しきい)に掛け金で留める。開けるときは上半分ははね上げて先端を金具にかけて固定し、下半分は取り外す。◇「蔀」ともいう。また、庭や縁側などに立て、目隠しとして使うものを立て蔀という。

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百科事典マイペディア 「蔀戸」の意味・わかりやすい解説

蔀戸【しとみど】

中央に板をはさみ,その表裏に格子を組み込んだ建具。日光,風雨,寒さ等を防ぐもので,普通上下2枚に分かれ(半蔀(はじとみ)と呼ぶ),上半は長押(なげし)につり,下半は掛金で留める。開放時は上半を金具にかけ,下半は取りはずす。寝殿造のほか神社仏閣に用いられた。材料により竹蔀,板蔀があり,屋外の目隠用に立蔀(たてじとみ)がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蔀戸」の意味・わかりやすい解説

蔀戸
しとみど

板の両面に格子を組んだ戸。長押 (なげし) から吊上げる。上下2枚に分れ,上半分だけ上げるものを半蔀 (はじとみ) という。寝殿造,住宅風仏堂,神社の拝殿などに用いる。

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世界大百科事典(旧版)内の蔀戸の言及

【戸】より

…扉の上部には格子,連子,花狭間(はなざま)などを入れ,後には彫刻が入るようになる。同じ回転式であるが,扉とは異なって水平方向に回転軸を持つのが〈蔀戸(しとみど)〉である。寝殿造では蔀戸に対し,扉形式の戸は〈妻戸(つまど)〉と呼ばれた。…

※「蔀戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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