ゆかし潟の北東岸にあり、海と山に囲まれた温泉。この温泉の歴史は古いようで、清寧天皇が行幸した時発見されたという伝えがあり、熊野詣が盛んであった中世には、参詣者の多くがこの湯で湯垢離をとって参詣したと伝える。「永久四年百首」の「出湯」に載る源俊頼の歌「まくまのゝ湯垢離のまろをさす棹の拾ひ行くらしかくていとなし」は当温泉での湯垢離を詠んだ歌ともいわれる。「紀伊名所図会」は「二つの温泉あり、一を大湯また浜湯と云ひ一を中湯といふ、共に浴室あり、湯坪の深さ二尺三寸、岩狭間より涌出す、他の湯よりは熱度少し低し、海近きがため満潮の時は聊か鹹味あり、中風、脚気などに効ありと云ふ、此の他なほ磯ノ湯、針ノ湯、赤嶋湯等あり」と記す。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
和歌山県南東部、那智勝浦(なちかつうら)町にある温泉。勝浦温泉から南へ峠(現在はトンネル)を越えた所にある潟湖(せきこ)のゆかし潟(がた)の湖畔にある。熊野大辺路(おおへち)に沿い、熊野参詣(さんけい)者の湯垢離(ゆごり)場として勝浦温泉よりも古くから知られた。温泉寺の古刹(こさつ)がある。泉質は炭酸水素塩泉。JR紀勢本線(きのくに線)湯川駅下車。
[小池洋一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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