湯泉神社(読み)とうぜんじんじや

日本歴史地名大系 「湯泉神社」の解説

湯泉神社
とうぜんじんじや

[現在地名]北区有馬

温泉街を一望する愛宕あたご山中腹に鎮座祭神は大己貴命・少彦名命・熊野久須美命。旧郷社。もとは下方温泉おんせん寺境内に祀られ、湯山三所ゆやまさんしよ権現とも称したが(摂津名所図会)、明治一六年(一八八三)現社地に遷座。「延喜式」神名帳の有馬ありま郡「湯泉ユノ神社大。月次新嘗」に比定され、郡唯一の大社で月次祭・新嘗祭の案上の官幣にあずかった。有馬温泉は「日本書紀」に舒明天皇孝徳天皇入湯記事もある古い歴史をもつ温泉で、当社はその守護神とみられ、温泉の湧出する霊力を崇拝する信仰もその時期にまでさかのぼることができよう。「伊呂波字類抄」には「温泉三和社 摂津国有馬郡坐」とあり、「大神・湯泉・鹿舌三像大明神者、神者是一躰分身也、故名号三和社」と記す。大神・鹿舌はそれぞれ現三田市の三輪みわ神社・羽束はつかし神社と関係があるとも考えられるが詳細は不明。当社に三輪明神を祀るという伝承は古くからあったようで、後白河法皇の近臣源資賢は「ありまのゆにしのびて御幸侍りける御ともに侍りけるに、ゆの明神をばみわの明神となん申し侍りける、ものにかきつけて侍りける」と詞書した「めづらしくみゆきをみわの神ならばしるしありまのいでゆなるべし」の歌を残している(千載集)


湯泉神社
ゆぜんじんじや

[現在地名]那須町芦野

健武たけぶ山にある。祭神は大己貴命・事代主命・三穂津姫命・健御名方命・誉田別命の五柱。旧村社。「那須町誌」によると芦野資方以後、芦野氏により当地勧請されたと思われ、累代同氏の崇敬を集めた。享禄年中(一五二八―三二)芦野資敏により社殿が造営され、社領六〇石を寄進されたという。天正九年(一五八一)には改修遷宮が行われている(「棟札写」社蔵)。現社殿横のオオスギ(県指定天然記念物)は樹高約四七メートル、目通り周囲約六・五メートル、推定樹齢七〇〇年。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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